看取り・葬儀
目次
- 1. 「看取りが近い」と言われたら、まず説明をもう一度聞いてよい
- 2. 本人の希望は、大きな決断だけでなく日々の過ごし方から聞く
- 3. 自宅・病院・施設で、連絡と支援の体制を確認する
- 3-1. 自宅では、夜間の連絡先と困ったときの対応を具体的にする
- 3-2. 病院や施設では、面会と連絡を受ける人を確認する
- 4. 食事や苦痛へのケアは、今の状態に合う方法を教えてもらう
- 5. 家族の交代と、必要な実務を少しずつ整える
- 6. 看取りの後も、家族が相談できる先を残しておく
- 7. よくある質問
- 7-1. 「看取りが近い」と言われたら、あと何日ですか?
- 7-2. 家で看取ると決めましたが、不安が強くなったら変更できますか?
- 7-3. 最期の瞬間まで、家族がずっと付き添うべきですか?
- 8. まとめ:今日確認することを、一つずつ整理する
- 9. 出典・参考資料
専門家の回答
「看取りが近い」と言われたら、まず説明をもう一度聞いてよい

医師から説明を受けても、驚いて内容を覚えていない、何を質問したらよいか分からないこともあると思います。その場で整理できなくても、「家族に伝えたいので、もう一度説明してもらえますか」と聞いて構いません。
この記事は、医療者から人生の最終段階に近づいていると説明を受けた家族に向けた準備の案内です。症状だけを見て家族が看取りの時期を判断するためのものではありません。今の病状と今後の見通しは、担当医に本人の状態に即して説明してもらいます。
| 確認すること | 聞き方の例 |
|---|---|
| 今の状態と見通し | 「看取りが近い」とは、今どのような状態という意味ですか |
| 予想される変化 | これからどんな変化がありそうですか。連絡が必要な変化は何ですか |
| 苦痛への対応 | 痛い・息苦しいとき、家族はどうすればよいですか |
| 連絡先と時間帯 | 夜間や休日はどこへ連絡しますか。つながらない場合はどうしますか |
| 家族ができること | 今の状態で、無理なくできるお手伝いはありますか |
医療者が使う言葉と、家族が受け取る意味が違うこともあります。「治療はしないのですか」「苦しさを和らげることはできますか」など、気になった言葉をそのまま確かめてください。看取りを考える段階でも、苦痛を和らげるケアや家族への支援について相談できます。2)5)
本人の希望は、大きな決断だけでなく日々の過ごし方から聞く
本人が話せる状態であれば、どこで過ごしたいか、誰と会いたいか、何がつらいかなどを聞いてみます。すべての希望を一度に尋ねる必要はありません。本人が今話したくない場合は、その気持ちも尊重し、医療・ケアチームと話す進め方を相談してください。1)2)
「自宅で過ごしたい」と話していても、体調や不安によって気持ちが変わることがあります。一度決めたら変更できないものではありません。本人の言葉や大切にしていることを、家族と医療・ケアチームで繰り返し共有します。1)
本人が意思を伝えることが難しい場合は、以前の言葉や暮らし方、大切にしていたことを医療者に伝えます。家族一人が正解を出そうと抱え込むのではなく、本人にとって何がよいかをチームで話し合うことが大切です。2)
例えば、会いたい人へ連絡する、好きな音楽を小さな音で流せるか聞く、いつもの衣類や写真をそばに置けるか相談するなど、日々の希望から考える方法もあります。これらは過ごし方の例で、本人の好みや疲れ具合、病院・施設の環境に合わせて選びます。

自宅・病院・施設で、連絡と支援の体制を確認する
自宅では、夜間の連絡先と困ったときの対応を具体的にする
在宅での看取りを相談している場合は、担当医・訪問看護師と、今後の変化や対応について事前に話し合っておきます。夜間・休日の連絡先だけでなく、誰へ先に電話するか、つながらないときはどうするかも確認してください。対応できる体制は医療機関・事業所によって異なります。4)
息づかいが変わったとき、反応がなくなったときにどう連絡するかも、本人の病状と合意した方針に沿って説明を受けます。家族へ交代する人がいる場合は、その人も同じ連絡先と説明を確認できるようにします。
在宅看取りで予測された変化への対応は、事前に担当医・訪問看護師と確認した方針に従います。一方、事故や予期しない急変、看取りの方針や対応が確認されていない状況で、意識がない・呼吸がおかしい場合は119番へ連絡してください。「高齢だから」「看取りという言葉を聞いたから」という理由だけで救急対応を控えるものではありません。4)6)
在宅で看取りの対応を決めていた方には、急な変化の際は訪問医側へ連絡することや、相談窓口を事前に伝えていました。家族が交代して付き添う場合は、誰に電話するかを同じメモで確認しておく方法があります。
病院や施設では、面会と連絡を受ける人を確認する
面会できる時間、付き添いや宿泊の可否、夜間に状態が変わったときの連絡方法を担当者へ確認します。遠方の家族がいる場合は、移動に時間がかかることも伝えておきましょう。誰を代表の連絡先にするか、代表者が出られない場合は誰へ連絡するかを決めておくと共有しやすくなります。
会いたい人がいても、長時間の面会が負担になることがあります。本人の希望と体調を踏まえ、短い面会や電話など、どのような形なら過ごしやすいかを相談してください。家族全員が同じ時間に集まることだけが、そばで支える方法ではありません。
食事や苦痛へのケアは、今の状態に合う方法を教えてもらう
食事が進まなくなると、「食べてもらわなければ」と心配になると思います。看取りの時期には、無理に食べることが負担になる場合もあります。食べられるものや量、飲み込みの状態について医療者へ相談し、むせる、苦しそうなどの変化があれば伝えてください。3)
口の乾きが気になる場合も、飲み物を増やすことだけで対応しようとせず、口の中を清潔にしたり湿らせたりする方法を看護師に教えてもらいます。食事や水分、点滴の方針は個別の状態で異なります。家族の判断だけで量や治療を変えないでください。3)
痛みや息苦しさを感じていそうなときは、いつから、どのような様子かを医療者へ伝えます。追加で使う薬がある場合は、使う条件、量・間隔、効かないときの連絡先を確認しておきます。「最期が近いから仕方がない」と我慢させず、苦痛を和らげる方法を相談してください。5)
家族の交代と、必要な実務を少しずつ整える
付き添いを続ける家族も、食事や睡眠をとる必要があります。誰が何時ごろ交代できるか、通院や連絡を引き受けられる人はいるかを整理します。頼める家族がいない場合も、その前提で医療・ケアチームに支援を相談してください。
訪問看護では、葬儀社を決めておくことも事前に案内していました。葬儀や搬送のことを考えるのがつらい場合、すべてを一度に決める必要はありません。必要な準備の時期や、亡くなった後に最初に連絡する相手を、病院・施設の相談員や訪問看護師に聞くところから始められます。本人の希望や、以前に決めていたことがあれば共有しておきます。
確認した内容は、連絡先と一緒に一枚のメモへまとめておくと、交代する家族も見返せます。医療上の対応と、親族・葬儀社などへの連絡は分けて書き、説明を受けた内容が変わったら更新します。家族が自分で死亡を判断して、その後の手続きだけを進めるものではありません。
看取りの後も、家族が相談できる先を残しておく
訪問看護では、亡くなった後に一度フォローの訪問をしたこともあります。介護中より時間ができてから、悲しみを感じるつらさもあると感じていました。看取り後の相談先も準備の一つとして、支援を受けている間に確認しておけます。
悲しみの表れ方や時期は人によって異なります。看取りを支えた医療機関や訪問看護ステーションに、亡くなった後も相談できる窓口があるか聞いておく方法があります。訪問の有無や回数は事業所によって異なります。
日本訪問看護財団が紹介する、訪問看護ステーションひまわり・田中恵里さんの事例では、本人と夫の思いの違いを支えながら、死別後にも夫と会い、悲しみに寄り添うケアが行われています。看取りの前後を通した家族支援の一例です。7)
よくある質問
「看取りが近い」と言われたら、あと何日ですか?
その言葉だけで残りの日数は決められません。病状や経過によって異なり、見通しには不確実さがあります。担当医に、どのような変化を見て説明しているのか、家族を呼ぶ時期をどう考えるかを具体的に聞いてください。
家で看取ると決めましたが、不安が強くなったら変更できますか?
気持ちや状態が変わったら、担当医・訪問看護師へ伝えて構いません。本人の希望も確認しながら、利用できる支援や療養場所を改めて相談します。変更を申し出ることは、本人を大切にしていないという意味ではありません。1)
最期の瞬間まで、家族がずっと付き添うべきですか?
家族が付き添える時間には、それぞれ事情があります。そばにいられない時間の対応や連絡方法を支援者と確認し、休める体制も考えてください。最期の瞬間に居合わせたかどうかだけで、これまでの関わりの価値が決まるものではありません。
まとめ:今日確認することを、一つずつ整理する
看取りが近いと説明されたときは、まず今の状態、苦痛への対応、夜間を含む連絡先を確認します。そのうえで、本人がどう過ごしたいか、家族にどのような支援が必要かを医療・ケアチームと話し合ってください。準備を一度で終える必要はありません。説明を聞き直したり、気持ちが変わったと伝えたりしながら、今できることを一緒に考えていきましょう。
出典・参考資料
- 厚生労働省「人生会議とは?」
- 厚生労働省「人生会議してみませんか」
- かわな病院在宅ケアセンター「看取り・旅立ちの準備」
- 各務原市医師会「在宅医療 よくある質問」
- 国立がん研究センター中央病院「緩和医療科・診療について」
- 政府広報オンライン「もしものときの救急車の利用法」
- 日本訪問看護財団「思いの違う利用者本人(妻)と、使命感を持って利用者を支えた家族(夫)へのグリーフケア」事例提供:田中恵里さん
情報確認日:2026年9月9日
この記事を監修した人
野崎理香 / 正看護師
正看護師として、がん専門センターおよびリハビリ病院に勤務後、訪問看護の現場に従事。
日々のケアを通じて、「本当は聞きたいことがあるのに、時間に追われて質問できない」という利用者様の声に直面し、その課題を解決するため、介護情報サービス「ケアポケ」の立ち上げに参画。
現場での実体験をもとに、看護や在宅ケアに関する実践的な情報提供と記事の監修に取り組む。
まず、今の状態と見通し、苦痛があるときの対応、夜間を含む連絡先を医療者へ確認します。本人の希望をできる範囲で聞き、家族の付き添いや休息も含めて支援を相談してください。一度にすべて決めようとせず、説明を聞き直しながら準備して構いません。