リハビリ・予防
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背抜きとは?
背抜きとは電動ベッドなどの背を上げた際や移乗・体位変換をした後、背中の皮膚や筋肉が引っ張られることによって生じる、圧迫感や違和感、不快感を取り除く方法です。
要介護服やシーツのしわを伸ばして体の圧迫される部分を解消したり、崩れた姿勢を正しくする目的もあります。
背抜きにはどんな効果があるのか
褥瘡(じょくそう)の予防
褥瘡は、同じ姿勢が続くことで血管が圧迫され、血行不良が起こることから生じます。体重による負荷や体を動かした際に生じる体と皮膚のずれも原因の一つです。
そのため、背抜きを行いベッドと体の間に隙間を作ることで褥瘡予防になります。
特に電動ベッドで体を起こす際にかかとや仙骨部に強い圧力がかかるため、背抜きを行うことは褥瘡予防にとても有効です。
誤嚥(ごえん)の予防
圧迫感や違和感を感じ、自力で軽減しようと不自然な体勢になってしまい、誤嚥につながる可能性があります。背抜きで姿勢崩れを予防することで誤嚥予防にも繋がります。
違和感や不快感を解消する
同じ姿勢でいることにより圧迫感や背中の張りなどによる不快感が生じます。またベッドの昇降による衣類やシーツのしわも不快感になります。
こうした場合にも、背抜きを行うことで違和感を解消することができます。
背抜きの方法
ベッドの背上げをした際にベッドと身体に生じるズレやしわを解消します。
まず、片手を肩の下あたりに入れて隙間をつくり、反対の手を隙間に入れ、服やシーツのしわを伸ばします。
背抜きができたら同様に尻ぬき、足抜きも行いましょう。
片手で腰を持ち上げ、もう片手を差し込み、背抜きと同様に服やシーツのしわを伸ばします。
片手でかかとを下から支えます。反対の手でズボンの裾をつかみしわを伸ばし、シーツも合わせて伸ばします。
背抜き用の介護用品
ポジショニンググローブやポジショニングシートはサラサラとした素材で摩擦を感じにくく背抜きの介助の際に介護者、要介護者ともに負担が軽減されるため、医療現場や介護の現場ではよく使用されます。
[LOSCHEN] スライドシート パイプ状らくらくシート 起き上がり補助
折りたたまずに使える移乗用スライドシート。滑らかな表面を備えたチューブ状のデザインにより、車両、車椅子、またはリクライニングチェアへの乗り降りがとても楽になります。
まとめ
ベッドの背上げした時を例にあげましたが、体を動かせず寝たきりの場合にも定期的に背抜きをしてあげると快適です。
身体機能が低下している場合、背抜きだけでは血流の改善ができない場合もありますので、マッサージなども併用することもオススメします。
背抜きは褥瘡(床ずれ)の予防に効果的です。背抜きの方法はさまざまですが、今回は在宅介護の方向けのやり方を図でわかりやすくご紹介します。