介護
専門家の回答
「むせる」と「誤嚥」の違い
どんな時に「むせる」?
嚥下機能が低下していたり、急に飲み込もうとしたり、食べながら話した時などに気管に水分や食べ物などの異物が入り込みそうになった時の反射として咽せ・咳込みが起こります。
誤嚥ってどういう状態?
誤嚥は気管に水分や食べ物などの異物が入ってしまった状態のことを指します。
気管から肺にかけては無菌状態ですので、異物が入り込んでしまうことで雑菌が繁殖してしまいます。肺の中で菌が繁殖すると炎症が生じることを肺炎、その中でも誤嚥から起因するものを「誤嚥性肺炎」と呼びます。
詳しくはこちらの記事をご参照ください。
似た言葉に「誤飲」がありますが、こちらは電池やペットボトルのキャップなど食べ物ではないものを飲み込んでしまった状態のことを指します。
「むせる」事自体は悪いことではありません
むせてしまうところを見ると不安になりますよね。
しかしむせること自体は悪いことではなく、気管に入りそうな食べ物を外に出そうとする動きは、身体にとって正常な反応です。
むしろ、むせていなくても誤嚥している場合もあります。誤嚥しているかどうかは、言語聴覚士や医師による判断が必要な場合もありますので、気になる場合にはかかりつけ医などに相談してみましょう。
まとめ
むせることは悪いことではありませんし、慌てなくても問題ない場合が多いです。
しかし、口に運ぶためにむせてしまう場合などは注意が必要ですので、しっかり起きているかどうか、食べながら話をしていないかなど環境にも注意し、心配な場合には専門家へ相談しましょう。
嚥下機能向上のために、口を大きく開けたり閉じたり、舌を動かすだけでも十分な体操になります。首や肩を動かして首周辺の筋肉をほぐしたり、食事前後に大きく深呼吸することも大切です。
嚥下機能が落ちて水分摂取が辛い場合には、お茶にとろみをつけたり、ゼラチンなどでゼリー状にして柔らかくするとゆっくり飲み込めますので、誤嚥を防ぐ事ができます。
「むせる」のが嫌で水分を取らなくなることは脱水のリスクとなりますので避けましょう。
水分補給は無理のないようにこまめに行うようにしましょう。
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「むせる」こと自体は悪いことではなく、安易に流動食にせずに、「むせる」と「誤嚥」の違いを理解しましょう。