介護
専門家の回答
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まず腹痛・嘔吐・お腹の張りなどを確認し、強い症状があるときは処置より医療機関への連絡を優先します。寝たきりの方への浣腸は、全身状態や便の状態を含めて医師・訪問看護師に相談してください。日数だけでなく、普段との違いが判断材料になります。
強い腹痛・嘔吐があるなら、浣腸より先に連絡する

激しい腹痛が続く、意識や反応がおかしいなどの場合は119番へ連絡してください。便が出ていないことだけでなく、今ある症状を伝えます。3)
嘔吐、強いお腹の張り、出血などを伴うときは、自己判断で浣腸や下剤を追加する前に医療機関へ連絡します。グリセリン浣腸の添付文書でも、吐き気・嘔吐や激しい腹痛など、急性腹症が疑われる場合には使用しないとされています。2)
すでに便秘薬や浣腸を使っている場合は、名前・量・使った時刻と、その後の便や症状を伝えてください。「いつもの便秘だろう」と、同じ処置を繰り返すことを優先しないでください。
何日出ていないかに加え、普段の排便と比べる
便秘の対応は、毎日便を出すことだけが目標ではありません。硬くてつらい、出したいのに出せない、残る感じがあるなど、排便のしにくさも大切です。普段の間隔や食事量と比べて、何が変わったかを確認します。1)
| 確認すること | メモの例 |
|---|---|
| 最後の排便 | 日時、十分に出た感じがあったか |
| 便の状態 | 硬い・小さい・軟らかい、量、血が混じるか |
| 身体の様子 | 腹痛、張り、嘔吐、食欲や元気の変化 |
| 食事・水分 | 普段からどの程度減ったか |
| 身体を動かす量 | 起きている時間や寝返りなど、普段から変わったこと |
| 薬・処置 | 便秘薬の名前と量、追加の指示、実際に使った時刻 |
| 排便の環境 | 便意を伝えられるか、トイレや便器を使えるか |
便意や痛みを言葉にしにくい方では、表情や食事、介助時の様子も伝えます。おむつに少し付いていたことと、十分な排便があったことは分けて記録してください。家族だけでお腹を強く押して状態を確かめる必要はありません。
寝たきりの場合、家族だけで浣腸・摘便を進めない
浣腸には腸を傷つけるなどの危険があり、全身状態によって適さない場合もあります。「市販だから誰でも安全」「前にも使ったから今回も同じ」とは考えず、まず医師や訪問看護師へ相談します。指で便を取り出す摘便も、家族が見よう見まねで行うことは避けてください。2)
自宅で家族が行うよう個別の指示を受けている場合は、使用する条件、方法、やめるべき症状、出なかった場合の連絡先を確認します。姿勢や量を一般記事から選ぶのではなく、その人の状態に合う説明を受けることが大切です。
便秘薬は、効き方と体調を見ながら調整してもらう
便秘薬には種類があり、体調や腎臓の働き、ほかの薬などによって選び方が変わります。酸化マグネシウムも、高齢者や腎機能が低下している方では注意が必要です。長く使う場合や効きにくい場合は、自己増量せずかかりつけ医へ相談してください。1)
「何日出なければどの薬を使うか」「効かなかったらいつ連絡するか」を、普段の診察や訪問時に決めておくと迷いを減らせます。指示が曖昧なまま家族ごとに薬を足さないよう、メモを共有しておきましょう。
日常の工夫は、水分・動き・排泄のしやすさを一緒に考える
この経験から家族が相談に生かせるのは、「何日出ていないか」に加え、食べる・飲む・動く量の変化を伝えることです。訪問時には、普段どのような姿勢で過ごしているかも見てもらい、本人に合う排便の支え方を一緒に確認しましょう。看護師の触診を、家族がお腹を押して確かめる手順としてまねる必要はありません。
姿勢の調整や腹部マッサージは、誰にでも適するわけではありません。腹部の手術後や腸の病気など、マッサージを避ける必要がある場合もあります。膝を無理に抱え込ませたり、お腹を強く押したりせず、行ってよいかと方法を医師・訪問看護師に確認してください。腹痛や嘔吐、強い張りがあるときは、マッサージより先に医療機関へ連絡します。4)
飲み物まで手が届くか、食事が十分にとれているかを見ます。水分制限や飲み込みの指示がある方には、その条件に合う方法を確認してください。食物繊維や水分を急に大量に増やすことを、一律の解決法にはしません。
排便の姿勢やベッドからの移動も相談の対象です。無理に座らせるのではなく、本人が安全に保てる姿勢や使える用具を看護師・リハビリ職に確認します。便意があるときに家族を呼びやすいか、遠慮して我慢していないかも聞いてみましょう。
訪問日まで便を我慢しなければならない、家族がいない時間の対応が決まっていない場合は、その事情をケアマネジャーにも伝えます。便秘を本人の身体だけの問題にせず、排泄を支える体制も含めて見直します。
まず症状を確かめ、普段の排便との違いを伝えることが大切です。浣腸をするか迷ったときに連絡できるよう、日頃から相談先と対応の指示を整理しておきましょう。
参考
- 日本消化器病学会「便秘薬の上手な使い方」
- PMDA「グリセリン浣腸液50%『東豊』添付文書」
- 総務省消防庁「救急車利用リーフレット」
- Cambridge University Hospitals:Improving bowel function in constipation(腹部マッサージの注意)
情報確認日:2026年9月10日。体験談に伴う腹部マッサージの注意を2026年9月17日に追加確認。
この記事を監修した人
野崎理香 / 正看護師
正看護師として、がん専門センターおよびリハビリ病院に勤務後、訪問看護の現場に従事。
日々のケアを通じて、「本当は聞きたいことがあるのに、時間に追われて質問できない」という利用者様の声に直面し、その課題を解決するため、介護情報サービス「ケアポケ」の立ち上げに参画。
現場での実体験をもとに、看護や在宅ケアに関する実践的な情報提供と記事の監修に取り組む。
訪問看護では、便が出ていない日数だけでなく、水分や食事の量、身体を動かす量を聞き、実際にお腹に触れて状態を確認していました。姿勢を変えた後にガスや便が出た方もおり、お腹のマッサージや水分摂取への声かけを行ったこともあります。