介護
専門家の回答
まずは原因を探してみましょう
要望が伝わらない原因は多々ありますが、主に以下の4点が考えられます
- 高齢による物忘れや認知症の進行などにより話を忘れてしまう。あるいは要望の内容をよく理解できない
- 耳や目が悪くなり、話が聞き取りにくく、よく理解できないままにしてしまう
- 要望の内容が本人にとっては不快、あるいは本人のこだわりとは異なる内容である
- 家族の要望が、本人の状態にとって無理のある内容である
①高齢による物忘れや認知症の進行などにより話を忘れてしまう。あるいは要望の内容をよく理解できない
認知症の高齢者の場合、「トイレ」という言葉が理解できていない可能性があります。本人がトイレを「お手洗い」、「便所」、「ご不浄」などと呼んでいた場合は、本人のわかる言葉で説明してあげましょう。トイレを理解していなくても、本人がトイレを認識できる言葉や文字などを掲示してあげると、理解の手助けになります。
あるいは、物忘れにより要望を忘れてしまうことも考えられます。その場合には、
- 目の届く範囲に、要望の内容を紙などに書いたものを用意する
- 自然とお願いしたい行動ができるように、身の回りの環境を整える
などの対処法があります。
例)ポータブルトイレでの排泄をお願いしたい場合
ベッドの横にポータブルトイレを置く場合、単に置くだけでなく、その近くに「ここでトイレしてね。毎朝〇〇が片付けます。」などと記載することで、そこで排泄をしても良いこと、後始末は定期的に家族や訪問サービスの方が行ってくれる、という安心感に繋がり、行動変容を促すことがあります。
②耳や目が悪くなり、話が聞き取りにくく、よく理解できないままにしてしまう
高齢になると高い音が聞き取りにくくなるため、低めの声ではっきり・ゆっくり丁寧に話すことを心がけましょう。
③要望の内容が本人にとっては不快、あるいは本人のこだわりとは異なる内容である
本人の意見に耳を傾けることはとても大切です。
いくらポータブルトイレを使用して欲しいと要望しても、自分の部屋で排泄行為をすること自体にどうしても抵抗がある場合があります。
そうした場合は、トイレに行くまでの環境を整えたり、トイレをバリアフリーにしたりする、間に合わない場合に備えて紙パンツや尿パッドの使用などの、解決策を考えてみましょう。
④家族の要望が、本人の状態にとって無理のある内容である
本人の身体の状態が、家族の要望やお願いを遂行できない程弱っているというケースも考えられます。
例えば、1日のほとんどをベッド上で過ごされる方に1日30分の散歩を家族が促す、認知症でお金の勘定が難しい方に買い物を依頼する、等々です。
場合によってはリハビリなどで改善していくこともありますので、専門家に相談してみましょう。
1人で悩まず、相談することも大切です
真剣に介護をするあまり、出来ないこと・失敗してしまったことを本人に辛く当たってしまったり、以前の様子と比べてできないことが増えたことに対して悲観的になってしまったりして、悪循環に陥ることもあるます。
こういった悩みはどこのご家庭でも起こり得ることですが、ご家族間の関係性が悪化する要因になり得ます。
そうなってしまう前に、是非身近な専門家の方に相談ください。
認知症の方や加齢により記憶力などの低下が見られる場合に、なかなか要望が伝わらず困ってしまう家族の方は多くいます。
原因を探してみることで、はじめの要望とはまた違った方法で対処出来るケースもあります。