リハビリ・予防
専門家の回答
膝関節に痛みを生じる原因
年齢を重ねるごとに膝の痛みを感じる人が増えていきます。その理由のほとんどが、変形性膝関節症と言われる病気によるものです。
簡潔にまとめますと、変形性膝関節症は膝関節の経年劣化と言えます。
以下で変形性膝関節症についてご説明いたします。
変形性膝関節症ってなに?
40歳以上で「膝の痛み」でお悩みの方は全国で800万人(推定)。その大部分は、変形性膝関節症によるものです。※1
変形性膝関節症はこのような機序で痛みを生じています※2。
- 関節軟骨や半月板がすり減る
- 軟骨のかけらが刺激して、滑膜を傷つけ炎症が起きる
- 熱を持ったり、関節液が以上に分泌される
- 大腿骨と脛骨が直接ぶつかるようになる
膝関節の軟骨が劣化し、少しずつすり減ってしまうことで歩いているときや、床に座っているときに膝に痛みを生じるようになります。
変形性膝関節症が進行するとO脚になってしまったり、痛みで日常生活もままならないことがありますので、早期治療が大切です。
変形性膝関節症の治療
変形性膝関節症の治療には、手術で「人工膝関節置換術」を受けるか、手術以外の方法ですと膝の痛みをとるため薬で炎症等を抑えたり、運動療法などがあります。
どの治療方法が適しているかどうかはかかりつけの医師にご相談ください。
グルコサミン・コンドロイチンの効果
グルコサミンやコンドロイチンは軟骨の成分の一部です。そのため、グルコサミンやコンドロイチンを摂取することで膝関節に効果があるように謳われています。
実際のところどうなのでしょうか?
グルコサミン・コンドロイチンに膝関節の痛み除去は期待できない
厚生労働省によると、グルコサミン・コンドロイチンは関節の痛みを和らげる効果はほとんど期待できない※3、としています。
もちろん効果があるという研究結果もありますが、報告数も少なく、専門家も効果を期待して勧めることはほとんどないそうです。
重症例などに併用することもありますが、サプリメントとして常用するより、膝の痛みを感じた際には整形外科などできちんとした治療を受けることをお勧めします。
グルコサミン・コンドロイチンは無駄なの?
グルコサミン・コンドロイチンは体内でアミノ酸に分解されます。
皮膚や血管、筋肉などのもとになるタンパク質を構成しているのがアミノ酸なので、アミノ酸を補うという目的での摂取は良いのかもしれません。
ワーファリンとの併用は禁忌
グルコサミンの入った製品とワーファリン(血液をサラサラにする薬)を併用して内服することで、逆に血液が凝固しやすくなるINR値が上昇したと言う研究結果が何例か報告されています。
(グルコサミンの入った製品はグルコサミン以外の成分も入っているため、グルコサミン単体でそのような現象が起きているのかどうかまでは不明とされています)
薬は飲み合わせによってこのように全く逆の効果が出たり、全く効果が出なかったりしてしまいますので、受診の際には必ずサプリメントなど常用しているものは医師へ報告するようにしましょうね。
出典
よくテレビCMで、膝関節へグルコサミンやコンドロイチンが効くと謳われており、藁にもすがる思いで飲み続けておられる方も多いかと思います。
今回はグルコサミンの効果と、膝関節の痛みを除去することが可能なのかについてご説明いたします。