介護
専門家の回答
要介護者はさまざまな「喪失」を味わっている
お歳を重ねるにつれ、例えば出来ないことが増えてきた、身体能力の低下で趣味ができなくなった、パートナーや友人の死など、列挙したらキリの無いほど多くの喪失を味わっています。これらの喪失感は要介護者の性格を変えることもあります。
そんな彼らに対してどのように接したら良いのでしょうか。
急かさない
要介護者は身体能力が低下しますので、動きがゆっくりであったり休憩を多く必要とします。また視力や聴力も落ちますので、すぐに反応できないことも多いです。
どうしても待てずに急かしたりすることもあるかと思いますが、急かすことで緊張し予想外の動きを取られる事があります。
例えば歩行中に急かすことでつまづいて転倒してしまったり、食事中に急かすことでむせてしまったり、誤飲・窒息してしまうことも。
急かさず相手のペースを待つことを心がけましょう。
目線を合わせて低めの声でゆっくり話す
高齢になると高音から聞こえにくくなってきます。そのため、特に女性は優しく話しかけようとすると声が高くなりがちですので、ゆっくり低めの声で話しかけるよう心がけましょう。
また、視線を合わせることで誰と話しているのかが分かりやすく、要介護者もちゃんと聞こうと意識を向けるためコミュニケーションに有効です。
敬意を持って接する
高齢者は多くの経験を経た人生の先輩です。
赤ちゃん・子供言葉は避け決して見下したりせず、敬意を持って接しましょう。
本人の性格に合わせて接する
ご本人の性格によってはフランクに接して欲しい方、丁寧に接して欲しい方などさまざまです。
いわゆる「タメ口」も、関係性やその場の雰囲気などによっては問題ないこともあります。
しかし、それも関係性を構築した当人同士だからこそです。
いきなり馴れ馴れしく話しかけたりせず、徐々に関係性を気づくことを大切にしましょう。
本人ができる事はなるべく本人に任せる
何か出来ないことがあって困っている時は、「何が出来ないのか」、「どうして出来ないのか」を考え、出来ないことを責めるのではなく「出来ないところを手伝う」というスタンスが大事です。
失敗をしてしまった時も怒ったり説得するなどはせず、失敗しない環境の工夫をしてみましょう。
相手の世界を認めて尊重してあげることが要介護者とのコミュニケーションをとるときのポイントとなります。
また、本人が得意なことで用事を頼むのもおすすめです。例えば、花に水をあげる、配膳を手伝ってもらう、洗濯物をたたむ、などの簡単なことでも良いのです。「人の役に立ってる」「必要とされている」「私にも出来る」と感じることで、充実感を感じ自尊心を取り戻すことに繋がります。
まとめ
高齢者は多くの喪失感を味わっています。相手の自尊心を傷つけるような態度は控え、憐れみを持って接することもまた要介護者にとって失礼と感じる場合もありますので注意しましょう。
相手の話に耳を傾けて、批判や否定はせず共感しながら相槌を打つことで高齢者とのコミュニケーションが上手く取れるようになります。
高齢者と接する上でとても大事なのは、本人の自尊心を大切にすることです。「出来ないことを手伝う」と言うスタンスが大切です。本人の自尊心を尊重して接しましょう。