病気・症状
専門家の回答
発熱したら、冷やす前に反応・呼吸・水分を確認する
呼びかけても反応がない、急に呼吸が苦しくなったなどの場合は、冷やして様子を見るのではなく119番へ連絡してください。高齢者は症状がはっきり出ないこともあります。体温の数字だけで安心せず、いつもとの違いを確認します。1)

本人が会話できるか、息苦しさはないか、水分を飲めているか、尿が極端に減っていないかを見ます。水分がとれない、ぐったりしている、症状が悪化している場合などは、早めにかかりつけ医へ連絡してください。治療中の病気について発熱時の指示がある場合は、その指示に従います。2)
クーリングは何度から?温度だけでは決めない
クーリングは氷まくらや保冷剤などで身体を冷やすことです。感染症などによる発熱では、体温だけを下げることより、本人の暑さや不快感を和らげることを考えます。「38度になったら必ず開始」という一律の判断にはしません。2)
| 本人の様子 | 家族の対応 |
|---|---|
| 寒がる・震える | 無理に冷やさず、衣類や寝具を調整する |
| 寒気がおさまり暑がっている | 本人が気持ちよい範囲で冷やす |
| 冷たさや痛みを訴える・嫌がる | 冷却をやめ、皮膚と体調を確認する |
| 反応や呼吸がおかしい | クーリングより救急対応を優先する |
寒気があるときは、身体が熱をつくろうとしていることがあります。無理に冷やすとつらさが増すため、寒くないように調整します。寒気がおさまって暑くなったら、掛け物を減らすなど、その時点の感じ方に合わせましょう。2)
どこをどう冷やす?皮膚と本人の反応を見ながら行う
暑さがつらい場合は、頭や額、首元、わきなど、本人が楽に感じる場所を冷やす方法があります。国立がん研究センターの発熱時の生活上の工夫でも、氷まくらや保冷剤を使う方法が紹介されています。病気や治療による個別の注意があれば、医療職の指示を優先します。2)
保冷剤は直接皮膚に当てず、タオルなどで包みます。冷却中は痛みや冷たすぎる感じ、皮膚の変化がないかを確認し、長時間同じ場所へ当て続けないようにしてください。本人がうまく伝えられない場合も、表情や皮膚を見ずに置いたままにしないことが大切です。
「2点・3点クーリング」という言葉だけでは、家庭での具体的な場所や方法を決めないでください。医療・介護職から指示された場合は、どこを、何で、どんな状態になったらやめるのかを確認します。数多くの場所を冷やせばよい、というものではありません。
冷却ジェルシートは、本人が心地よいと感じる場合の補助として考えます。使ったことで原因の治療や受診が不要になるわけではありません。製品の注意書きも確認してください。
暑い環境で具合が悪くなった場合は、熱中症も考える
ここまでの説明は感染症などによる発熱時のケアです。暑い部屋や屋外で体調を崩した場合は、熱中症の対応が必要なことがあります。涼しい場所へ移し、衣服をゆるめ、身体を冷やします。自力で水分を飲めない、意識がおかしい場合は救急車を呼びます。3)
熱中症が疑われる人に、「寒気がおさまるまで待つ」と機械的に当てはめないでください。気温や室温、どこで何をしていたかも、相談時に伝える情報です。
自宅では水分・寝具・薬も確認する
| 項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 水分 | 安全に飲める状態なら少しずつ。飲み込みや水分制限の指示があれば従う |
| 衣類・寝具 | 寒気と暑さに合わせて調整。厚着して無理に汗をかかせない |
| 食事 | 無理に食べさせず、食べられる量と水分の状況を伝える |
| 薬 | 処方時の指示を確認。市販薬や解熱剤を自己判断で重ねない |
熱が下がっても、反応・呼吸・水分などが戻らない場合は「治った」と決めないでください。体温とともに本人の様子を見て、変化や悪化があれば医療機関に相談します。1)2)
電話で相談するときに伝えるメモ
家族が原因を診断する必要はありません。分かる範囲で次の内容を整理すると、受診や自宅での対応を相談しやすくなります。
| 項目 | 伝え方の例 |
|---|---|
| 始まった時期と体温 | いつから、何度くらいで、普段の平熱はどのくらいか |
| いつもとの違い | 会話・反応・呼吸・起き上がりなど |
| 飲食と排尿 | どの程度飲めたか、尿がいつもより減っていないか |
| ほかの症状 | 咳、痛み、下痢、嘔吐、寒気など |
| 病気と薬 | 持病、治療中の内容、飲んだ薬と時刻 |
| 自宅で行ったこと | 冷やした場所と本人の反応、室温や暑い場所にいたか |
感染症が疑われるときは、受診方法を医療機関へ事前に確認します。家庭では手洗い、可能な範囲の換気、咳エチケットなども行いましょう。



発熱時は「何度なら、どこを冷やすか」だけでなく、本人が楽か、受診を急ぐ変化がないかを一緒に確認します。寒気がある間は無理に冷やさず、暑さがつらいときに心地よい範囲で行いましょう。
出典・参考資料
情報確認日:2026年9月11日
この記事を監修した人
野崎理香 / 正看護師
正看護師として、がん専門センターおよびリハビリ病院に勤務後、訪問看護の現場に従事。
日々のケアを通じて、「本当は聞きたいことがあるのに、時間に追われて質問できない」という利用者様の声に直面し、その課題を解決するため、介護情報サービス「ケアポケ」の立ち上げに参画。
現場での実体験をもとに、看護や在宅ケアに関する実践的な情報提供と記事の監修に取り組む。
発熱したからといって、すぐに冷やす必要はありません。寒気や震えがある間は無理に冷やさず、寒気がおさまって暑さがつらいときに心地よい範囲で行います。呼びかけへの反応や呼吸がおかしい場合は、クーリングより救急対応を優先してください。