介護
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認知症とは
認知症は、脳の病気や障害など様々な原因により、認知機能が低下し、日常生活全般に支障が出てくる状態をいいます。※1
認知症の中核症状の例として以下が挙げられます。
- 物忘れ
- 日時や場所が分からなくなる
- 理解力や判断力が落ちる
- 行動・心理症状(不安になったり怒りっぽくなる、物盗られ妄想)
同じ物忘れでも違う
加齢による物忘れと、認知症による物忘れには大きな違いがあります。
「加齢によるもの忘れ」と「認知症によるもの忘れ」の違い(一例)※2
加齢によるもの忘れ | 認知症によるもの忘れ | |
---|---|---|
体験したこと | 一部を忘れる (例:朝ごはんのメニュー) |
すべてを忘れている (例:朝ごはんを食べたこと自体) |
学習能力 | 維持されている | 新しいことを覚えられない (覚えにくい) |
もの忘れの自覚 | ある | なくなる |
探し物に対して | (自分で)努力して見つけられる | いつも探し物をしている 誰かが盗ったなどと、他人のせいにすることがある |
日常生活への支障 | ない | ある |
症状の進行 | 極めて徐々にしか進行しない | 進行する |
認知症の種類について
認知症は大きく4種類に分かれています。
- アルツハイマー型認知症
- 脳血管性認知症
- レビー小体型認知症
- 前頭側頭型認知症
アルツハイマー型認知症
認知症の中で最も多く、7割を占めると言われています。
もの忘れが最初に出現し、経過はゆっくりです。
症状の進行を遅らせる事は可能ですが、根治のための治療法は確立されていません。
脳血管性認知症
脳梗塞や脳出血・くも膜下出血などが原因で起こる認知症で、男性の発症が多いとされています。
全体の約2割を占め、物忘れ/手足の痺れ/歩行障害/嚥下障害/言語障害などの症状があります。
また、アルツハイマー型認知症が合併することも少なくありません。
レビー小体型認知症
レビー小体という異常なたんぱく質が蓄積することで神経細胞に障害が起こり発症します。
妄想や幻視、手足が震えたり、筋肉がこわばるなどの症状があります。
調子が良い時と悪い時の差があり、うつ症状とも似ていると言われています。
また、睡眠中に大声を出すなどの異常行動も見られます。
こちらも根治のための治療法は確立されていません。
前頭側頭型認知症
人格や言動、行動に変化があるのが特徴です。万引きをしたり、勝手な行動をしたり、毎日同じものを食べるなどです。言語が分からない、喋れないなどの言語障害を引き起こすこともあります。
まとめ
上記の4種類がよく発症する認知症です。
その他の認知症には、「アルコール性認知症」、「若年性認知症」、「正常圧水頭症」、「まだら認知症」があります。
認知症には様々なタイプがあり判断が難しいですが、早期発見で進行を遅らせることが可能です。「最近、物忘れが多くなったな」や「歩き方がおかしい」などと感じたら、一度病院へ診察に行ってみると良いでしょう。
また、介護保険制度を利用してデイサービスなどの通所型介護サービスや、訪問看護で内服管理、認知症のためのリハビリなどを受けることができます。
デイサービスには送迎や食事提供、入浴介助など生活に沿った支援や、リハビリやレクリエーションなど体や頭の体操が実施されています。認知症に特化したものもあるので、地域包括支援センターや担当のケアマネージャーへ相談してみましょう。
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認知症は発症の原因によって4種類に分けられます。
今回はそれぞれの種類について特徴を説明します。