介護
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高齢者がやっておきたい6つの地震対策
高齢者がやっておきたい地震対策を6つにしぼり解説します。
災害時の連絡先の確認
地震を含む災害時に、まずどこに連絡すればいいのか確認しましょう。家族の連絡先や日頃使っているデイサービスやショートステイなどの介護施設の番号などを緊急連絡カードとして携帯することをおすすめします。
もし、近所と交流がある場合は、近所の方にあらかじめ家族の連絡先を伝えておき「何かあったときに見かけたら連絡ください」と伝えるのも効果的です。
携帯電話を持っている場合は、災害時には使えない可能性があることを説明し、使えない時は、避難所や介護施設などの職員に家族と連絡をとるよう伝えましょう。
家族やケアマネージャーなどの連絡先は、普段から貴重品などと一緒に常に持ち歩くように心がけてみてくださいね。
ハザードマップの確認
ハザードマップは、災害時に危険な場所や避難場所などを地図にまとめたものです。安全に避難できるようお住まいの地域のハザードマップを確認し、避難のときに役立ててください。
お住まいの地域のハザードマップを以下より確認してみましょう。
ハザードマップポータルサイト
避難所の確認
地震や災害が起きたときの避難所を確認しましょう。何かが起きたときにすぐに行動するために、あらかじめ場所を把握する必要があります。
一般的には、お住まいの市区町村のホームページや役場にて家の近所の避難所を確認できます。
災害時には、避難所がいっぱいで入れないというような事態も考えられるため、近所で2個以上の避難所の確認をすることをおすすめします。
地域によっては、災害時に高齢者や障がい者など特別な支援を必要とする方を対象にした避難所が開設されます。市区町村が指定する避難所に避難している方に対し、看護師や保健師が巡回し、必要時に福祉避難所に移動します。
一般の避難所で不安な場合でも、保健師や看護師などの専門職が巡回するため、まずは地域が指定する避難所に行きましょう。
避難ルートの確認
避難所までのルートを確認しましょう。推奨されているルートでも高齢者の場合、安全に避難することが難しい可能性があります。
どのような点に注意したらいいのかをみてみましょう。
- ひとりで行けない上り坂や下り坂はないか
- 長い階段や間隔が広い階段などはないか
- 舗装されてない道はないか など
お住まいの市区町村が作成している「ハザードマップ」には、避難経路や避難所などがのっています。
避難ルートを実際に下見したり、ハザードマップを確認してみてください。
自宅の安全対策の確認
実際に災害が起きる前に、自宅の安全を確認することが大切です。
やること | 具体例 |
---|---|
家具の固定 | ・ 冷蔵庫やタンスなど大きい家具は壁や天井と固定する ・ 食器棚の開き度が開かないよう固定する ・ 本棚は本が飛びなさないようひもやベルトで固定する など |
家具の置く場所の検討 | 寝室や居間など長時間過ごす場所はできるだけ家具を置かないようにする (背の低い家具にする) |
家具の向きの確認 | 家具が倒れてしまっても、人に直撃しないような向きや、出入り口をふさがないような向きにする |
すみやかに避難できる準備 | ・枕元に靴やヘルメットを置く (地震で食器棚が割れたり、窓ガラスが割れ、避難中に怪我して逃げるのが遅れる可能性があるため) |
通路の確保 | 玄関や出入り口までの通路には倒れるような家具を置かない |
落下物のリスクの確認 | ・落ちる可能性があるところに植木鉢や花瓶などを置かない (積み上げたものが落ちると避難経路を塞ぎ、避難が遅れる可能性があるため) |
地震が起きたときに、家具が倒れないような工夫や、倒れたとしても逃げることへの影響が最小限になるよう自宅の安全対策を行ってみてくださいね。
避難行動要支援者名簿の登録
避難行動要支援者名簿とは、災害時に自力で避難する方が困難な高齢者や障がいのある方などが、ほかの方の手助けを素早く安全に受けられるよう登録をおこなうものです。
名簿の登録対象はつぎのとおりです。
- 要介護3以上など
- 身体障害者手帳1級・2級
- 精神障害者保健精神障害者保健福祉手帳1級 など
避難行動要支援者名簿は、以下の場所に共有され、災害時に役立ちます。
- 警察
- 自治会
- 民生委員
- 消防機関
- 自主消防組織 など
お住まいの地域によって、登録方法が異なるため、くわしくは役場の福祉課や高齢者を担当する課まで直接確認してみてください。
高齢者が準備したい防災グッズ
災害時に必要な防災グッズを、一般的なものと高齢者のものをそれぞれみてみましょう。
一般的に必要なもの | 高齢者が必要なもの |
---|---|
・笛 ・飲料水(1日3L/人) ・タオル ・歯ブラシ ・非常食(1週間分) ・懐中電灯 ・簡易トイレ ・ヘルメット ・下着/着替え ・メモ帳とペン ・携帯ラジオ ・携帯電話/充電器 ・アルコール消毒液 ・ティッシュペーパー ・現金(公衆電話用に10円玉) ・救急袋(絆創膏やガーゼなど) など |
・お薬手帳 ・めがねや補聴器 ・薬(常備薬・頓服薬) ・杖/白杖/歩行器など ・おむつや尿とりパット ・お粥や介護食のレトルト ・とろみ剤(使用している方) ・既往歴や現病歴がわかるもの ・軟膏や湿布などのテープ剤 ・保険証/介護保険証/障がい者手帳などのコピー (濡れても大丈夫なようにジップロックやファイルなどに入れる) など |
非常食や飲料水は最低1週間分は自宅に備えておくことがおすすめです。しかし、高齢者の場合、持ち出すものは必要なものは最小限にしぼり、ご自身で背負って逃げれるかどうか試してみてくださいね。
両手が自由に動かせるため、非常用持ち出し品はリュックサックに入れ、いつでもすぐ出せる場所に置いておきましょう。
災害時に高齢者の逃げ遅れを防ぐ3つの対策
災害時に高齢者の逃げ遅れを防ぐ対策を3つにしぼり解説します。
避難するタイミングを確認する
お住まいの市区町村から「警戒レベル3」が出たら高齢者は避難しましょう。高齢者は避難に時間がかかる可能性があるからです。
「警戒レベル1」や「警戒レベル2」でも、急に「警戒レベル3」になる可能性があるため、いつでも逃げられるよう準備をしましょう。警戒レベルに関しては以下をご覧ください。
警戒レベル※1 | 内容 |
---|---|
警戒レベル1 | 災害への心構えをする |
警戒レベル2 | ハザードマップで避難行動の確認をする |
警戒レベル3 | 高齢者や障がい者などが危険な場所から避難する |
警戒レベル4 | 対象地域の全員が危険な場所から避難する |
災害発生時には、ラジオやテレビなどから地震の情報をリアルタイムに確認し「避難する」または「家にとどまる」のかを判断しましょう。
スマホが使える場合には、どのように災害情報を確認すればいいのか一緒に確認してみてくださいね。
避難ルートを複数想定する
避難ルートを複数確認しておきましょう。災害によっては、想定していた避難ルートが土砂崩れや建物の崩壊などで使えない可能性があるからです。
実際に災害が起きてからでは、誰でも混乱し冷静に行動するのが難しくなります。そのため、あらかじめいくつかの避難ルートを確認し、実際に下見してみてくださいね。
避難場所を複数確認する
自宅の近くの避難場所を複数確認しましょう。災害時は、避難所がいっぱいになったり、使えなくなったりする可能性があるからです。
避難場所まで自分で行けるか、どのくらいの時間がかかるのか試してみましょう。
まとめ
災害時に、できる限り安全に逃げられるよう事前の準備が不可欠です。特に手助けが必要な場合は、あらかじめ、お住まいの市区町村の役場の担当部署やケアマネージャーに相談してみましょう。
家具の固定や、非常時の防災グッズは定期的に見直すことをおすすめします。
何か不安なことがある場合は、家族だけで抱え込まず、役場の高齢者を担当する課や介護のスタッフなど関係者に気軽に相談してみてくださいね。
出典
「自分の両親は地震のときに大丈夫?」「高齢者が地震に備えるためにはどんなことが必要?」
このような疑問を持っていませんか?
地震をはじめとする災害はいつ起こるかわかりません。
とくに、手助けが必要な高齢者の場合、事前にできる準備をすることが大切です。
本記事では、高齢者やその家族がどのような準備をするといいのかを解説します。
災害時にご両親やご家族のことが心配な方のお役に立てれば幸いです。