介護

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2024.12.20 作成

2024.12.20 更新

親の介護は子供の義務ではない?家族間のトラブルを避けるために今できること

介護と仕事の両立に不安を感じています。自分の夫は介護に非協力的で、兄弟も家庭があり介護の分担について話し合いができていません。家族間のトラブルなく介護をするにはどうしたら良いでしょうか?

専門家の回答

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「介護は何から進めればいいか分からない」「自分一人での介護は難しそうだ」と不安に感じていませんか?
介護がいざスタートすると家族間・親族間でトラブルに発展するケースは少なくありません。
なるべくトラブルを避けスムーズに介護をスタートさせるには、介護に関する知識を学んでおくのが大切です。
この記事では、親の介護義務の範囲やトラブルを避けるためのポイントをご紹介します。親の介護で悩まれている方のお役に立てれば幸いです。

親の介護が義務とされる理由と例外

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親の介護義務があるケースと例外について解説します。

直系血族と兄弟姉妹は介護義務がある

直系血族や兄弟姉妹には、法律で介護義務が定められています。
民法第877条第1項には「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある」とあります。
直系血族は以下のとおりです。

  • 祖父母

介護が必要なときには、直系家族とご本人の兄弟姉妹で連携をとりましょう。

介護義務の内容

介護義務のおもな内容は「生活を助け合う義務」または「生活扶助義務」と呼ばれるものです。
生活扶助義務には、経済的支援と生活支援の2つが当てはまります。

支援の種類 具体的な内容
経済的支援 ・生活費
・介護サービスの利用費用
・介護施設入居費用
生活支援 日常生活に必要な援助の提供または手配
床材の変更 畳を板材に変えたり、じゅうたんを撤去したりなど

介護義務として法律で定められているのは「身体的な介護の義務」ではなく「生活を助け合う義務」ということです。
身体的な介護だけでなく、経済的な支援により専門的なケアを手配することも介護義務を果たしていると見なされます。

自分の生活が苦しいときは介護義務が免除される

介護義務は、サポートする側の生活が苦しくなるほどの負担を強いるものではありません。介護義務が完全に免除されることはないものの、サポートする側の状況に応じて義務の範囲や方法を調整することが可能です。
たとえば、経済的支援が難しい場合は日常生活の介助を行う、介護は余力の範囲内で行うといった調整を行ってもよいでしょう。
介護の範囲について家族間で折り合いがつかない場合は、家庭裁判所の調停で適切な介護の方法を見出すケースもあります。

親の介護を放棄すると罰せられる可能性がある

自分の生活が苦しいからといって、なにもせず介護を放棄すると「保護責任者遺棄罪」に問われる可能性があります。
保護責任者遺棄罪とは、介護義務者が保護をしなかった場合に成立する犯罪です。
保護責任者遺棄罪に当たると、3か月以上5年以下の懲役刑が科されます。さらに、遺棄の結果として親が死亡した場合は、より重い「保護責任者遺棄致死罪」に問われる可能性もあります。
さまざまな事情により親の介護ができない場合は、速やかに専門機関に相談しましょう。

家族間のトラブルを避けるためにできること

家族間のトラブルが思いもよらない形に発展する前に、できることがあります。くわしくみてみましょう。

兄弟姉妹や他の親族と話し合いをする

家族間のトラブルを避けるために、親が元気なうちに親族間で話し合いの場を持つことが大切です。年末年始やお盆など親族が集まる機会に話し合うこともいいでしょう。話し合いの場では、各自の生活状況や経済状況を共有し、介護についてできることとできないことを明確にしましょう。
主な介護者や経済的負担の担当、緊急時の対応方法などを決めておくと安心です。緊急時の対応の具体例は以下のとおりです。

  • 誰から誰に連絡を入れる
  • 車椅子になったら施設に入る
  • 一人で身の回りのことができなくなったら介護サービスを利用する など

状況の変化に対応できるよう、話し合いは一度で終わらせず定期的に実施してみてくだ些細ね。

施設や介護サービスの利用を検討する

家族間の話し合いでは、親が自立した生活が困難になった場合の介護施設やサービスを調べておくことも大事です。
親だけでなく家族の状況も変化する可能性があるため、柔軟に対応できるようにしておきましょう。
利用できる施設や介護サービスにはさまざまな種類があり、料金やできることも異なります。親の「年金の支給額」「本人の預貯金」「保険の支給の有無と支給額」などをもとに、どのくらいのお金が使え、それ以外を誰がどのくらいの割合で負担するのかを決めておくとスムーズです。

介護保険や公的な費用軽減の制度について学ぶ

親や家族の事情で経済的な援助が難しい場合、公的な費用軽減制度を受けられます。

費用軽減の制度 具体例
負担限度額認定 ・施設利用時、食費と居住費が減額される
・対象となるサービスと対象外があるため注意が必要
高額介護サービス費 月々の利用者負担が上限を超えた場合、超過分が戻ってくる
社会福祉法人等による利用者負担額軽減制度 とくに生計が困難な低所得者向けにさまざまな費用が軽減される

制度によっては収入が多いと受けられないものもあります。家族間で集まる際は、金銭的な事情についても話し合ってみてくださいね。

家計に余裕がない場合は家庭裁判所で手続きをする

サポートする側の家計に余裕がない場合、家庭裁判所で手続きすることで家族間のトラブルを避けられる可能性があります。
扶養請求調停の申立てを行うと「何をどこまで扶養するか」「いくら支援するか」を調整できるかもしれません。
法律のプロからのアドバイスのもと当事者間で話し合えるため、よりよい解決策を見出せます。ただし、扶養義務を完全に免除することはできないため、あらかじめ注意しましょう。

地域包括支援センターに相談する

地域包括支援センターでは、高齢者についての困りごとを総合的に受け付けています。保健師や社会福祉士などさまざまな専門家が常駐しており、プロからのアドバイスを無料で受けることが可能です。
ささいなことでも早めに相談すれば、大きなトラブルになる前に対策を立てられます。どこに何を相談していいか分からない人は、自治体にあるお近くの地域包括支援センターに相談してみてくださいね。

身近な介護経験者に相談する

もし、周りに介護経験者がいらっしゃる場合は、相談してみることをおすすめします。「意外に⚪︎⚪︎にお金がかかった」「⚪︎⚪︎になる前に準備した方がいい」など経験者ならではの意見が聞けるかもしれません。
介護は人それぞれ違いますが、経験者ならではのアドバイスは参考になるでしょう。

まとめ

介護義務の内容は、おもに経済的な援助です。
しかし、介護にかかる経済的なサポートをすべて担う必要はなく、できる限りの援助が求められます。
自分の生活が苦しいからと親の介護を放棄すると、自身が罰せられる可能性があります。家族間で話し合ったり専門的な機関に相談したりして、スムーズに手続きできるよう準備しましょう。

出典

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