相続・終活

相続・終活

2026.10.07 作成

2026.10.07 更新

親の介護費を立て替えたら?相続前に残したい記録と家族の話し合い

母の入院費や介護用品を自分のお金で払っています。亡くなった後に貯金から返してもらえると思っていますが、領収書を残しておけば大丈夫でしょうか。

専門家の回答

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領収書に加えて、誰が負担する予定の支出なのか、返してもらう合意があるか、すでに精算したかを残しましょう。家族が払ったお金が、相続時にすべて自動で返るとは限りません。生活費の援助や介護への貢献と区別し、できるだけ支払いの都度、本人や関係する家族と扱いを確認します。

「立て替えたつもり」を、お互いの認識にする

 

本人の口座から支払うまで一時的に代わったのか、子どもが援助として負担したのかで、話し合う内容は変わります。家族の中で意味が違うまま「あとでまとめて」としておくと、金額だけそろえても解決しません。

本人が内容を理解して判断できるときは、支払う前に用途と負担者、返してもらう予定を話します。すでに支払っているものは、事実として確認できる支出と、合意が確認できない支出を分けてください。過去の日付で合意があったように記録を作り直すことはしません。

領収書だけでなく、お金の動きが分かる記録を残す

次の項目を一つの表にすると、二重精算や記憶違いを見つけやすくなります。税務申告用の集計と、家族間で返すお金の整理は目的が違います。

項目 記入する内容
日付・用途 どの月の入院費か、誰が使う用品か
支払先・金額 病院・事業所・店舗と、実際に払った額
支払った人・資金 本人の口座、家族の口座、現金など
負担・返済の確認 誰と何を確認したか。未確認ならそのまま記す
証拠の場所 領収書番号、振込履歴、請求書、連絡記録
精算状況 精算日・金額・未精算残高

現金で払ったものは、支払いの経緯も早めにメモします。家族の買い物と一緒に購入したときは、親のための品を区別してください。説明用の一覧を作ることと、その内容が法的に認められることは同じではありません。

成年後見制度を利用している場合、東京家庭裁判所の案内では、立替費用の精算時に、支出の裏付けだけでなく、本人に必要な費用か、金額が相当かも領収書などで確認するよう求めています。後見人等がいるときは、精算前に記録を渡して相談してください。これは後見事務の案内であり、すべての家族に同じ裁判所手続きが必要という意味ではありません。3)

家族で整理するときも、領収書だけで用途が分からなければ、請求書や購入理由のメモを一緒に保管すると説明しやすくなります。返済の合意が不明なら「未確認」と記録します。合意の有無だけで返還の可否が決まるとは限らないため、支払いの経緯を専門家へ伝えましょう。

介護に使った時間と、実際の出費を混ぜない

介護のために仕事を休んだ負担や、夜中に対応した苦労を分かってほしい気持ちは、お金の精算と並んで大切な問題です。ただ、実際の支払額と、家族が行った介護への評価は分けて記録すると相談が整理しやすくなります。

寄与分は、相続人が亡くなった方の財産の維持・増加に特別に貢献した場合の制度です。レシートがある支払いをすべて寄与分と呼ぶのではなく、返還を求めるお金なのか、介護等の貢献の評価なのかを専門家に整理してもらいます。1)

本人のお金から、家族の判断だけで取り戻さない

「介護をしたから、この金額は自分が受け取ってよい」と一人で決めると、後から使途や権限について説明を求められることがあります。本人の判断力が落ちている場合は、家族であることだけを理由に財産を自由に動かせるとは考えないでください。

支払いが迫っているなら、用途の分かる請求書等を持って銀行へ相談し、必要に応じて財産管理の方法について法律の相談につなぎます。すでに後見人等がいる場合は、その人にも確認します。相続が始まった後も、返還の可否や金額が争われているお金を独断で控除せず相談してください。

相続が始まったら、支出の種類ごとに相談する

生前の介護費、亡くなった後の葬儀費、実家の片付け代などは、支払った人や経緯を分けて並べます。「全部、親のために払った」という説明だけで、一律に同じ扱いになるとは限りません。返還の合意、本人の債務かどうか、家族間の負担など、争点によって適切な手続きも変わります。

弁護士等への相談には、親族関係、亡くなった日、遺言の有無、支出一覧、領収書・振込記録、本人や家族とのやり取りを持参します。法テラスでは法的トラブルに応じた情報提供や相談窓口の案内を受けられ、無料相談等には収入・資産などの条件があります。2)

記録の目的は、家族を追及する準備だけではない

毎月の請求を誰が払ったか分かれば、次回の支払いを別の家族へ頼むときも引き継ぎやすくなります。大きな出費の前に共有する、精算したら印を付ける、立て替えが続いたら予算を見直す。その小さな整理を、相続まで先送りしないことが役立ちます。

返してもらえると見込んで無理な立て替えを続ける前に、自分が出せる上限も伝えましょう。返還の見通しが不明な場合は、その不明点を残したまま専門家へ確認してください。

親の預金を支払いに使えず困っている場合は、銀行に伝える内容と相談先も確認できます。

認知症で親の口座からお金を引き出せない?介護費の支払いと家族の相談先

出典・参考資料

  1. 裁判所「寄与分を定める処分調停」
  2. 法テラス「相続」
  3. 東京家庭裁判所後見センター「後見センターレポートvol.27:立替金の精算」

情報確認日:2026年9月30日。

この記事を監修した人

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野崎理香 / 正看護師

正看護師として、がん専門センターおよびリハビリ病院に勤務後、訪問看護の現場に従事。
日々のケアを通じて、「本当は聞きたいことがあるのに、時間に追われて質問できない」という利用者様の声に直面し、その課題を解決するため、介護情報サービス「ケアポケ」の立ち上げに参画。
現場での実体験をもとに、看護や在宅ケアに関する実践的な情報提供と記事の監修に取り組む。

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