介護
目次
- 1. 夜間介護で眠れないこと自体を、相談してよい
- 2. 何で起きているかと、家族が休める時間を整理する
- 2-1. 急に夜の様子が変わったら、体調も医療職へ相談する
- 3. 家族が眠れるようにする支援には、どんな選択肢がある?
- 3-1. 夜間の訪問サービスは、必要な介助を自宅で受ける方法
- 3-2. ショートステイは、家族が休む時間をつくる選択肢になる
- 4. 家族の分担は「手伝う」から、時間と役割へ具体化する
- 5. よくある質問
- 5-1. 親がショートステイを嫌がるときは、どうしたらよいですか?
- 5-2. まだ要介護認定を受けていません。先に相談できますか?
- 5-3. サービスを増やしても、心配で眠れない場合は?
- 6. まとめ:昨夜のことを、家族の睡眠も含めて伝える
- 7. 出典・参考資料
専門家の回答
夜間介護で眠れないこと自体を、相談してよい

夜中に何度も起こされると、布団に入っている時間があっても休めないことがあります。「転ぶかもしれない」と気が張り、親が寝た後も眠れない方もいるでしょう。家族がどれだけ眠れているかは、今の介護を続けられるか考えるための大切な情報です。
担当のケアマネジャーに、「夜のトイレ介助で3回起きる」「朝の仕事に支障が出ている」など、困っている場面を伝えてください。回数は説明の例で、一定回数を超えなければ相談できないという基準ではありません。介護サービスを使っていない場合は、親の住む地域の地域包括支援センターが相談の入口になります。
「親は家にいたいと言っているので、預ける相談はしづらい」と感じることもあると思います。最初から住まいを変える結論を出す必要はありません。まずは、家族が眠れる時間をどう確保するか、今夜と今後の両方について相談して構いません。
何で起きているかと、家族が休める時間を整理する
相談用の記録は、きれいな表でなくても十分です。昨夜のことを、思い出せる範囲で数行書いてみてください。記録を数日分ためるために相談を先延ばしにする必要はありません。親の様子と、家族が何をしたかを分けると、どの部分に支援が必要か伝えやすくなります。
| 見ておくこと | 書き方の例 |
|---|---|
| 時間と回数 | 午前1時と3時に呼ばれた。実際の介助は各15分ほど |
| 親が困っていたこと | トイレへ行きたい、痛い、不安で誰かにいてほしい |
| 家族がしたこと | 起き上がりと移動を手伝った。戻った後もしばらく付き添った |
| 家族の睡眠と生活 | 介助の後に眠れない。午前中の運転や仕事がつらい |
| 普段と違うこと | 急に回数が増えた、薬が変わった、昼間の過ごし方が変わった |
「呼ばれている時間」と「気になって眠れない時間」は別々に伝えて構いません。また、同居家族がいるだけでは交代できるとは限らないため、頼める曜日や時間も具体的にします。「夜は一人で対応している」という状況も、支援を組み立てるために必要な情報です。
急に夜の様子が変わったら、体調も医療職へ相談する
急に夜間の落ち着かなさが増えた、痛みや息苦しさを訴える、普段と会話が違うといった変化があれば、「年齢のせい」と決めずに主治医や訪問看護師へ連絡します。呼びかけに反応しない、強い呼吸困難があるなどの場合は119番です。4)
眠ってほしいからと、家族の判断で睡眠薬を増やしたり、別の人の薬を使ったりしないでください。高齢者では薬がふらつき・転倒などに関わることもあります。薬を飲む時間も含めて、夜の様子と家族の困りごとを医師・薬剤師に伝えて相談します。3)
家族が眠れるようにする支援には、どんな選択肢がある?
サービスを選ぶときは、親に必要な介助と、家族が休みたい時間をセットで考えます。例えば「夜中のトイレ移動を手伝ってほしい」と「一晩、介護を離れて眠りたい」では、相談したい支援が変わります。次の表は、ケアマネジャーと検討するための整理です。
| 困りごと | 相談できる方法 | 確認すること |
|---|---|---|
| 決まった時間や急な呼び出しに介助が必要 | 夜間対応型訪問介護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護 | 対象者、地域の事業所、訪問内容、連絡方法 |
| 一晩または数日、介護を離れて休みたい | ショートステイ | 空き状況、泊まる環境、医療的なケアへの対応 |
| 特定の曜日・時間だけ交代してほしい | 家族の分担、必要に応じて自費サービス | 引き受ける介助、時間、費用、緊急時の連絡先 |
夜間の訪問サービスは、必要な介助を自宅で受ける方法
夜間対応型訪問介護では、定期的な訪問や通報に応じた対応などで夜間の生活を支えます。定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、昼夜を通して必要なタイミングの訪問介護と看護の連携を行うサービスです。どちらも要介護者向けで、要支援1・2の方は対象ではありません。1)2)
「24時間対応」は、スタッフが家に一晩付き添うという意味ではありません。訪問の合間を家族がどう過ごせるか、本人が連絡機器を使えない場合の対応、呼び出してからの流れも確認してください。地域の事業所や提供体制、ケアプランによって利用できる内容が変わります。2)
ショートステイは、家族が休む時間をつくる選択肢になる
ショートステイは短期間施設に泊まり、食事や排泄などの介護を受けるサービスです。医療や看護を含む対応が必要な場合は、短期入所療養介護なども検討します。要支援の方には介護予防の短期入所サービスがあり、親の状態に合う種類を相談できます。1)
予約したい日だけでなく、夜間に必要な介助、普段の寝る時間、薬や医療的なケアを伝えましょう。すぐに空きがない場合もあるので、「いつ頃使えそうか」「それまで誰がどの時間を手伝えるか」を合わせて相談します。利用後は親の様子と家族が休めたかの両方を振り返り、次の使い方を考えます。
私が訪問看護で関わったご家庭では、定期巡回・随時対応型訪問介護看護を利用して、夜間の呼び出しに対応してもらったり、必要に応じてショートステイを取り入れたりしていました。家族だけで夜の対応を続けるのではなく、訪問や泊まりの支援を使う方法がありました。
家族の分担は「手伝う」から、時間と役割へ具体化する
「できるときに手伝って」と頼むだけでは、夜中の対応が同じ人に戻ってしまうことがあります。「土曜の夜から日曜の朝は交代する」「通院の付き添いを別の家族が担い、その時間に休む」など、引き受ける範囲を具体的にしてみてください。これは分担の例で、ご家庭に合う形へ変えて構いません。
交代する人が慣れていない場合は、普段の介助方法や連絡先を共有します。身体を支える介助に不安があるなら、訪問看護師などに実際の方法を確認してください。家族の人数だけで役割を割り振らず、安全にできること、できないことを確かめることが大切です。
遠方の家族にも、サービスの空き確認や連絡、費用の相談など、担える役割があります。夜間を交代できる人がいない場合は、その前提でケアマネジャーと支援を考えます。「誰かが頑張れば解決する」とせず、家族だけでは埋められない時間を明らかにしてください。
私が関わった中には、ご家族が限界に達してから施設を選んだケースもありました。その経験から、本当は限界が来る前に、休める方法や今後の暮らし方を一緒に考えたいと思っています。家で支えたい気持ちがあっても、「このままではつらい」と感じた段階で相談してよいのです。
よくある質問
親がショートステイを嫌がるときは、どうしたらよいですか?
まず、知らない場所が不安なのか、トイレや食事が心配なのかなど、嫌な理由を聞いてみます。見学や短い日程から試せるかを相談する方法もあります。本人の希望と家族の休息の両方を伝え、利用が難しい場合も別の支援を検討してください。
まだ要介護認定を受けていません。先に相談できますか?
相談できます。親の地域の地域包括支援センターへ、夜に必要な介助と家族の睡眠の状況を伝えてください。認定申請の相談とともに、結果が出るまでに使える地域の支援なども確認できます。利用条件や費用は支援ごとに異なります。
サービスを増やしても、心配で眠れない場合は?
介助が減ったことと、家族が安心して眠れることは同じではありません。連絡が必要な場面や任せられる範囲を支援者と確認します。それでも不眠が続く場合は、家族自身のかかりつけ医にも相談してください。
まとめ:昨夜のことを、家族の睡眠も含めて伝える
夜間介護を見直すときは、親が何に困っていたかに加えて、家族が何度起き、その後に眠れたかも相談材料にします。まずは昨夜の様子を数行にして、ケアマネジャーや地域包括支援センターへ伝えてみてください。訪問サービス、泊まりの支援、家族の分担を組み合わせ、本人の生活と家族の休息を両立できる方法を考えていきましょう。
夜間以外の負担も重なっている場合は、介護疲れやストレスについての関連記事も参考になります。
出典・参考資料
情報確認日:2026年9月9日
この記事を監修した人
野崎理香 / 正看護師
正看護師として、がん専門センターおよびリハビリ病院に勤務後、訪問看護の現場に従事。
日々のケアを通じて、「本当は聞きたいことがあるのに、時間に追われて質問できない」という利用者様の声に直面し、その課題を解決するため、介護情報サービス「ケアポケ」の立ち上げに参画。
現場での実体験をもとに、看護や在宅ケアに関する実践的な情報提供と記事の監修に取り組む。
夜の介護で家族が眠れないことも、ケアマネジャーへ相談してよい困りごとです。親に必要な介助と家族の睡眠を整理し、夜間の訪問サービス、ショートステイ、家族の分担などで休める時間を考えます。親の様子が急に変わった場合は、体調についても医療職へ相談してください。