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親の介護が始まると、兄弟がいても実際に動く人が一人に偏ってしまうことがあります。
通院の付き添いや買い物、ケアマネジャーとの連絡、施設探しなど、介護には目に見えにくい負担もたくさんあります。
「自分ばかりやっている」「兄弟は何もしてくれない」と感じたときは、介護を全部同じように分けるのではなく、それぞれができる形で役割を持つことを考えてみましょう。

「兄弟が何もしない」と感じるのは珍しくありません

親の介護が必要になると、近くに住んでいる人や、もともと親から頼られやすかった人に負担が集中することがあります。

介護と聞くと、食事や排泄、入浴などの身体介助を思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかし実際には、通院の付き添い、病院やケアマネジャーとの連絡、介護保険の手続き、買い物、薬の管理、施設探しなど、家族が担っていることはそれだけではありません。

  • 通院の予約や付き添い
  • 病院・ケアマネジャー・介護事業所との連絡
  • 買い物や日用品の補充
  • 食事や服薬の確認
  • 介護保険や自治体の手続き
  • 介護サービスの契約や調整
  • 施設探しや見学、契約
  • 介護にかかる費用の管理
  • 体調が悪化したときの判断や対応

一つひとつは小さなことに見えても、長期間続けば大きな負担になります。
兄弟から「何かあったら言って」と言われても、毎回説明してお願いすること自体が負担になってしまうこともあります。

介護は在宅だけではありません

親が施設に入所したら家族の介護がすべて終わる、というわけではありません。

施設へ入所するまでにも、候補となる施設を探し、空き状況を確認し、見学して、費用や条件を比較しながら契約まで進める必要があります。

また、入所後も家族が対応することは残ります。

  • 衣類の準備や季節ごとの入れ替え
  • 施設によっては衣類の洗濯
  • 日用品の補充
  • 定期的なカンファレンスへの参加
  • ケアプランや生活状況の確認
  • 受診や入院が必要になったときの対応
  • 体調が悪化したときの治療方針などの相談
  • 契約や費用に関する手続き
  • 施設との連絡

在宅介護か施設介護かに関係なく、家族には調整や判断が必要になる場面があります。
こうした「見えにくい介護」も含めて、兄弟で役割を考えることが大切です。

なぜ一人の兄弟に介護が集中しやすいの?

親の近くに住んでいる

実家の近くに住んでいる兄弟は、急な受診や買い物、施設からの連絡などに対応しやすいぶん、自然と役割が増えやすくなります。

親が特定の子どもに頼りやすい

兄弟が複数いても、親自身が「この子には頼みやすい」と感じていることがあります。
その結果、連絡や相談が一人に集中し、他の兄弟には状況が伝わっていないこともあります。

仕事や育児など生活状況が違う

兄弟それぞれに仕事、子育て、住んでいる場所などの事情があります。
「時間がある人がやればいい」と単純に決めてしまうと、特定の人だけが継続的に負担することになりやすいです。

親の状態について認識が違う

毎日のように親と接している人と、年に数回しか会わない人では、親の状態の見え方が違うことがあります。

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介護の現場では、普段の介護や施設とのやり取りをしているご家族とは別の兄弟が、状態が悪くなったときなどに急に意見を出してくるケースもありました。
日常的に関わっている家族と、たまに会う家族では、ご本人の状態についての認識が違うこともあります。

たまたま調子が良い日に会えば、「まだ元気そう」「施設に入る必要はないのでは」と感じることもあります。
一方、日常的に介護している人は、夜間の対応や排泄、食事、服薬、転倒リスクなど、短時間の面会だけでは分からない部分も見ています。

こうした情報量の差が、兄弟間の意見の食い違いにつながることがあります。

まず兄弟で介護の方針を共有しましょう

役割分担を決める前に、まず「これから親の生活をどうしていくのか」を兄弟で共有しておきましょう。

  • できるだけ自宅で生活するのか
  • どの段階で施設を検討するのか
  • 親本人はどのように暮らしたいのか
  • 家族ができる介護はどこまでか
  • 介護サービスをどの程度利用するのか
  • 介護費用をどうするのか
  • 病状が変化したときに誰が連絡を受けるのか
  • 大きな治療判断が必要になった場合にどう相談するのか

すべてを一度に決める必要はありません。
ただ、「今は在宅で続ける」「一人でトイレに行けなくなったら施設も検討する」など、現時点での考え方を共有しておくと、いざというときに話し合いやすくなります。

兄弟で同じ量の介護をする必要はありません

介護の分担というと、「全員が同じ回数実家へ行く」「通院を順番に担当する」など、同じ量を分けることを考えがちです。

しかし、住んでいる場所や仕事、家庭状況が違えば、同じことをするのは難しい場合があります。
大切なのは、全員が同じことをすることではなく、それぞれができる形で役割を持つことです。

兄弟の状況 担当できることの例
親の近くに住んでいる 通院、緊急時対応、施設やケアマネジャーとの連絡
少し離れて暮らしている 書類作成、施設探し、情報収集、定期的な訪問
遠方に住んでいる 介護費用の負担、日用品のネット注文、施設情報の比較、電話での連絡
兄弟全員 今後の介護方針、施設入所、医療上の大きな判断などの相談

近くにいる人が実際に動くことが多くなるのであれば、遠方の兄弟が介護サービス代や日用品代を多めに負担する方法もあります。

「公平=同じ回数介護する」ではありません。
時間、距離、お金など、それぞれが出せるものを組み合わせながらバランスを考えてみましょう。

介護の役割は具体的に分ける

「もう少し手伝ってほしい」と伝えるだけでは、相手も何をすればよいのか分からないことがあります。

役割を決めるときは、できるだけ具体的にしましょう。

  • 通院は兄弟で交代する
  • 毎月第2土曜日は実家へ行く
  • おむつや日用品の注文は遠方の兄弟が担当する
  • 施設探しや資料請求は別の兄弟が担当する
  • ケアマネジャーとの主な連絡窓口を一人決める
  • 介護費用は兄弟で決めた割合で負担する
  • 家族LINEなどで親の状態を定期的に共有する

一度決めた役割も、親の状態や兄弟それぞれの生活状況によって変わります。
定期的に見直す前提で決めておくと負担を調整しやすくなります。

施設探しも立派な介護です

施設探しは、想像以上に時間がかかることがあります。

  • 本人の状態や希望を整理する
  • 予算を確認する
  • 施設を検索する
  • 空き状況を問い合わせる
  • 資料を取り寄せる
  • 複数の施設を比較する
  • 見学する
  • 本人と相談する
  • 契約や入所準備を進める

親の近くに住んでいる兄弟が日常的な介護をしているなら、遠方の兄弟が施設候補を調べたり、問い合わせをしたりすることも役割分担になります。

施設入所後も兄弟で役割を決めておく

施設へ入所した後も、連絡や判断が必要になることがあります。

誰を施設の主な連絡先にするか、カンファレンスには誰が参加するか、費用や日用品は誰が管理するかなどを決めておくと、一人だけに負担が集中しにくくなります。

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施設に入所しても、衣類の準備や洗濯、日用品の補充、定期的なカンファレンス、体調が変化したときの判断など、ご家族が関わる場面は残ります。
「施設に入ったから介護は終わり」と考えず、入所後に必要なことも兄弟で共有しておくと安心です。

何もしていない兄弟が急に口を出してきたら?

日常的に介護をしていない兄弟から、施設入所や介護サービスについて急に反対意見が出ることもあります。

介護している側からすると、「普段は何もしていないのに」と感じてしまうのも無理はありません。

ただ、意見が食い違うときは、まず兄弟が持っている情報を揃えることから始めてみましょう。

  • 本人が一人でできること・できないこと
  • 夜間や排泄など日常的な介護の状況
  • 認知症や病状の変化
  • 利用している介護サービス
  • ケアマネジャーや医療職からの説明
  • 現在かかっている介護費用
  • 日常的に介護している家族の負担

「私は大変」「まだ元気そう」という感覚だけで話すより、実際の介護状況を具体的に共有した方が話し合いやすくなります。

兄弟に介護を頼むときは具体的に伝える

不満がたまると、「私ばっかりやってる」「少しは手伝って」と言いたくなることもあると思います。

ただ、相手に動いてもらいたい場合は、現在の状況と具体的にお願いしたいことをセットで伝えると話し合いやすくなります。

例えば、

今は週3回実家に行っていて、月2回の通院も私が付き添っている。仕事との両立が難しくなってきたから、通院の付き添いか、日用品の注文のどちらかをお願いできない?

のように、「何が起きているか」「今のままでは難しいこと」「お願いしたいこと」を伝えてみましょう。

それでも兄弟が何もしない場合

話し合っても、兄弟が介護に協力してくれるとは限りません。

その場合、兄弟を動かすことだけを解決策にしてしまうと、介護している本人がさらに疲れてしまいます。

「兄弟がやってくれないから自分が全部やる」ではなく、家族以外の支援も利用しましょう。

  • ケアマネジャーに家族の介護負担を伝える
  • 訪問介護などのサービスを増やせないか相談する
  • デイサービスの利用日数を見直す
  • ショートステイを利用する
  • 地域包括支援センターへ相談する
  • 在宅生活が難しくなっている場合は施設も検討する

ケアマネジャーには、「兄弟がいるから何とかなる」と考えられないよう、実際に介護を担っている家族の状況を具体的に伝えることも大切です。

介護費用も兄弟で共有しておく

介護では、サービス利用料だけでなく、おむつや日用品、交通費、施設費などさまざまな費用がかかります。

一人の兄弟が立て替え続けると、後から「誰がいくら負担したのか」が分からなくなることがあります。

  • どの費用を親本人のお金から支払うのか
  • 家族が負担する場合はどのように分けるのか
  • 立替金をどう精算するのか
  • 領収書や支出の記録をどこに残すのか

遠方に住んでいて直接介護をすることが難しい兄弟が、金銭面を多めに負担する方法もあります。

お金のことは後回しにすると話しにくくなるため、介護が長期化する前に兄弟で確認しておくとよいでしょう。

よくあるQ&A

兄弟は全員同じように介護しないといけない?

全員が同じ回数介護をする必要はありません。
親との距離、仕事、家庭状況などによってできることは違います。通院、連絡、施設探し、金銭面など、それぞれができる方法で分担することを考えてみましょう。

遠方に住む兄弟には何をお願いできる?

施設探しや情報収集、日用品のネット注文、書類関係、介護費用の負担などは遠方からでも対応できます。
定期的に電話をしたり、家族間の情報共有を担当したりすることも役割の一つです。

兄弟が施設入所に反対している場合は?

まず、現在どの程度の介助が必要なのか、介護している家族の負担はどのくらいなのかなど、実際の状況を共有しましょう。
ケアマネジャーや施設職員など専門職から説明してもらうことで、家族だけで話すより状況を理解してもらいやすい場合もあります。

親が特定の兄弟にしか頼ろうとしない場合は?

親が一人の子どもに連絡や頼みごとを集中させることもあります。
すべてを一人で受けるのではなく、兄弟間で情報を共有し、内容に応じて別の兄弟へ回す方法も考えてみましょう。

兄弟で介護方針が合わない場合は?

まずは親本人の希望と、現在の身体状況・介護状況を確認します。
その上で、家族だけでは意見がまとまらない場合は、ケアマネジャーや地域包括支援センターなど第三者に相談しながら整理する方法もあります。

まとめ

親の介護で「兄弟が何もしない」と感じると、不満や疲れがたまってしまうことがあります。

介護は、食事や入浴などの身体介助だけではありません。通院、手続き、施設探し、連絡調整、費用管理、施設入所後の対応など、目に見えにくい役割もたくさんあります。

兄弟全員が同じ量の介護をする必要はありません。
親の近くにいる人は実際の対応を行い、遠方に住む人は施設探しや情報収集、金銭面を担当するなど、それぞれの生活に合わせて分担する方法があります。

また、兄弟によって親の状態についての認識が違うと、介護方針で意見が分かれることがあります。
日常の介護状況や家族の負担を共有し、親本人の希望も確認しながら、兄弟で今後の方針を話しておきましょう。

それでも家族だけでは介護を支えきれない場合は、ケアマネジャーや地域包括支援センターなどに相談してください。
家族だけで無理を続けるのではなく、介護サービスも利用しながら続けられる形を探していきましょう。