お金のこと

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2026.09.30 作成

2026.09.30 更新

特養と老健はどちらが安い?費用を同じ条件で比べるポイント

親の入所先に特養と老健が挙がっています。特養の方が安いと聞きますが、料金表を見ても違いが分かりません。年金で払えるか、どんな条件をそろえて比べればよいでしょうか。

専門家の回答

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特養と老健のどちらが安いかは、施設名だけでは決まりません。部屋の種類や食費、介護保険の負担割合、軽減制度の適用をそろえて比べる必要があります。さらに役割が異なるため、費用と一緒に、入所する目的とその後の暮らしも相談しましょう。

「特養の方が安い」で決める前に、目的を確かめる

退院後の相談で老健を勧められた一方、「費用を考えるなら特養では」と家族に言われることがあるかもしれません。どちらも介護保険で利用する施設ですが、同じ支援を値段だけで選び替える関係ではありません。

特養は特別養護老人ホームの略で、常に介護を必要とする方の生活を支える施設です。入所は原則として要介護3〜5が対象で、要介護1・2でも特例の要件に該当する場合があります。希望すればすぐ入れるとは限らず、介護の必要性などを踏まえて入所が検討されます。1)

老健は介護老人保健施設の略です。病状が安定した要介護者に、医療・看護・介護・リハビリなどを提供し、在宅での生活への復帰を目指します。家族が望む期間だけ住み続ける住まいと同じには考えず、今の課題や退所後の生活を相談します。2)

「自宅での生活をもう一度整えたい」のか、「常時介護を受けられる生活の場が必要」なのか。どちらか一つに家族だけで決められなくても構いません。入院中なら退院支援の担当者、利用中の老健なら支援相談員へ、予算と暮らしの希望を一緒に伝えましょう。

共通する費用の項目を並べる

特養も老健も、介護サービスの自己負担に加えて、食費・居住費・日常生活費などがかかります。介護保険の1割・2割・3割という負担割合を、請求書の全項目に掛けるわけではありません。親の条件で、内訳のある見積もりをもらってください。1)3)

比較する項目 特養・老健それぞれに聞くこと
介護サービスの自己負担 要介護度と負担割合をそろえ、加算を含むか確認
居住費(部屋代) 多床室か個室か。実際に入れる部屋の料金を確認
食費 何日・何食分か、軽減認定を反映しているか確認
日常生活費など 日用品・理美容など、総額に含まれない項目を確認
集計する期間 30日分か31日分か。入所初月の費用は別に確認

施設の料金表には、基本の介護費だけを示した表と、食費なども含めた月額例が混在することがあります。一方の「介護費」ともう一方の「合計」を比べていないか、表の見出しまで確かめましょう。

比べる条件が違うと、安い・高いが逆に見える

特養の個室と老健の多床室を比べて差があっても、それだけで施設の種類による差とは言えません。まず親が暮らせる部屋の候補を確認し、同じ条件に近づけた見積もりを依頼します。空きがある部屋と希望の部屋が違う場合は、それぞれの金額を分けてもらいます。

また、一方の見積もりだけに食費・居住費の軽減が入っていれば、比較の前提が違います。「認定なしの場合」と「認定された場合」を混ぜないことも大切です。金額の高低が何によって生まれているかを、一つずつ見るようにします。

同じ30日で比べる、仮の計算例

たとえば、候補Aの合計が月12万円、候補Bが月11万円と説明されたとします。ただし、Bでは別料金の日用品・洗濯などが月1万5千円必要なら、想定する合計は12万5千円になります。この場合、当初安く見えたBの方が5千円高くなります。

これは計算の考え方を示すために編集部が作った例で、特養・老健の相場や実在施設の料金ではありません。A・Bを特定の施設種類に当てはめず、手元の見積書でも「入っていない項目」がないかを確かめてください。

軽減制度も、同じ前提で見積もりに入れる

所得や資産などの条件を満たすと、申請により特養・老健の食費と居住費の負担が軽くなる制度があります。これが介護保険負担限度額認定です。市区町村での認定が必要で、年金額だけで自動的に決まるものではありません。4)

判定では世帯の課税状況のほか、別世帯の配偶者の課税状況や預貯金等も確認されます。申請する前なら、市区町村の介護保険窓口で対象や必要資料を確かめます。認定証がある場合は、施設に提示し、有効期間と利用する部屋での額を確認してください。5)

高額介護サービス費は別の制度で、介護保険対象の自己負担が月の上限を超えた場合の払い戻しです。食費・居住費などは対象外のため、施設への請求総額が上限まで下がるわけではありません。比較表では、請求時に用意する額と、払い戻し後の負担を分けておくと分かりやすくなります。6)

老健を利用した後の費用も、一緒に考える

老健の費用が予算に収まっていても、退所後の暮らしをどう支えるかは別に考える必要があります。在宅に戻るなら、自宅の維持費や利用する介護サービス、必要な用具などを含めて相談します。入所中の金額を、その後もずっと続く支出として計算しないようにしてください。

特養を申し込みながら老健を検討する場合も、老健で必要な支援と、退所後の見通しを担当者と確認します。「特養が空くまで必ず老健にいられる」とは決めず、入所の目的や見直しの時期、次の住まいが決まらない場合の相談を進めておきます。

反対に、家族が「特養の方が安そう」と思っても、本人の状態に合うか、希望する時期に入れるかは別の話です。費用を抑える必要があることを遠慮せず伝えながら、受けられる支援と空き状況を合わせて検討しましょう。

特養を待つ間の暮らしと、移る場合の負担も考える

費用の相談で私が気になるのは、希望する特養へすぐ入れるとは限らない点です。特養を待つ間に老健などを利用する場合は、その間の生活場所をどうつなぐかも考えておく必要があると思います。月額だけでなく、次の場所を探す家族の手間も含めて相談してほしいところです。

ただし、老健には全国一律で「3か月が来たら必ず退所する」という期限があるわけではありません。運営基準では、本人の状態に応じて自宅で生活できるかを定期的に検討します。解釈通知が示す少なくとも3か月ごとの検討と、全員が3か月で退所することは異なります。7)8)

利用を検討する老健には、「親の場合はいつ、どのような条件で退所を検討しますか」「特養が決まらない場合は誰と相談しますか」と聞いておきましょう。別の住まいへ移る可能性があるなら、移動の費用、必要な日用品、家族の付き添いや手続きも予算と予定に入れます。施設を転々とすることを前提や決まりとせず、本人に必要な支援を続けられる方法を相談します。

支払える額を伝え、二つの見積もりを一緒に相談する

家族で話すときは、「安い方にしよう」だけでなく、親の収入から毎月いくら出せるか、家族が続けて補える上限はいくらかを分けて書いてみてください。入所後も残る自宅の支出や本人の保険料も、忘れずに予算へ入れます。

そのメモと見積書を相談員へ見せ、「この条件で払えるか」「入所後や退所後に増える費用は何か」を聞きます。軽減制度を使っても足りない場合は、市区町村にも相談し、家族が無理な立て替えを約束する前に、続けられる方法を一緒に探してください。

参考

情報確認日:2026年9月28日(入退所基準は9月29日に追加確認)

この記事を監修した人

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野崎理香 / 正看護師

正看護師として、がん専門センターおよびリハビリ病院に勤務後、訪問看護の現場に従事。
日々のケアを通じて、「本当は聞きたいことがあるのに、時間に追われて質問できない」という利用者様の声に直面し、その課題を解決するため、介護情報サービス「ケアポケ」の立ち上げに参画。
現場での実体験をもとに、看護や在宅ケアに関する実践的な情報提供と記事の監修に取り組む。

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