介護職の実務・レク
2026.11.05 作成
2026.11.05 更新
座ってできる高齢者レクリエーション|少人数でも進めやすい工夫
専門家の回答
紹介する活動は、治療法や効果が検証された訓練メニューではなく、楽しむための提案です。本人の好みと負担を確かめ、参加や継続を強いないことを基本にします。1)2)
始める前に、座る姿勢と参加方法を確かめる

「座っているから安全」とは限りません。姿勢が崩れやすい、物へ手を伸ばすと体が傾く、長く座っていると痛いなど、その人の注意点を職員間で共有します。車椅子の固定などは使用機器の説明書と事業所の手順に従い、物を取るために無理に前へ身を乗り出さなくてよい配置にしてください。
材料は、見えやすく、持ちやすい大きさを考えます。小さな部品を口に入れるおそれがある人には使わず、食べ物を使う企画は飲み込みや食事の個別対応が必要です。ここでは食品や小さな駒を使わない案に絞ります。声が聞き取りにくい人には、文字や実物を示すなど、伝え方も用意しましょう。
少人数で取り入れやすい5つの活動
| 活動 | 用意する物 | 参加の仕方 |
|---|---|---|
| 写真の二択 | 見やすい写真を二枚ずつ | 好きな方を指差す、理由を話す、見るだけ |
| 季節の言葉集め | 大きな紙、太いペン | 思い浮かんだ言葉を出す、書かれた言葉から選ぶ |
| 絵カードの仲間分け | 大きめの絵カード | 自分で基準を決めて分ける、人の分け方を見る |
| 一文ずつのお話づくり | 最初の一文を書いた紙 | 短い言葉を足す、二つの展開から選ぶ、パスする |
| 色から選ぶ共同作品 | 大きめの色紙など | 使いたい色や並べ方を選ぶ、仕上がりを眺める |
例えば2〜4人程度の小さな集まりから検討できますが、これは企画上の例で、必要な職員数や安全な人数を示す基準ではありません。介助・見守りの必要性や部屋の条件に応じて決めます。各活動で勝敗や早さを競う必要はありません。
1.写真の二択:理由を話さなくても参加できる
海と山、花と果物などの写真を示し、「どちらを見たいですか」と聞きます。選んだら「どんなところが好きですか」と会話を広げてもよいですが、答えを求め続けないようにします。昔の経験を必ず話してもらう形にせず、今見て感じたことでも十分です。
「高齢者なら昔の写真が好き」とは限りません。旅行や家族の話題がつらい人もいます。写真を見て表情が変わったら、理由を人前で聞き出さず、別の題材へ替える配慮も必要です。
2.季節の言葉集め:正解を急がず、出た言葉を見える形に
「秋といえば何を思い浮かべますか」など、一つの題材を示します。職員が大きく書き、出た言葉を皆で見られるようにします。話すのが難しい人には、二つの絵を見せて選んでもらう方法があります。言葉を出した数で順位をつけず、同じ言葉が出ても失敗扱いしません。
3.絵カードの仲間分け:分ける基準も本人が決める
花・乗り物・食器などのカードを少数並べます。「赤いもの」「家にあるもの」「好きなもの」など、本人が考えた基準で分けられます。職員が決めた分類と違っても、すぐに直すのでなく、理由を聞いてみましょう。カードを持てない人には、指差しや視線など、普段の意思表示に合う方法で確認します。
4.一文ずつのお話づくり:パスできる順番にする
「今日は公園へ来ました」など短い一文から始め、次の人が一言足します。難しければ「花を見る、ベンチで休む、どちらにしますか」と二択にします。順番が来てもパスできるようにし、職員が本人の代わりに全部考えてしまわないよう、待つ時間も取ります。つながりが変わっても、筋の通った物語を完成させることが目的ではありません。
5.色から選ぶ共同作品:選ぶ役割も大切にする
大きめの色紙を用意し、本人が選んだ色や並べ方で台紙を飾る案です。切る・貼る作業が難しければ職員が補い、本人は色を決めるだけでも参加できます。道具の安全と材料の管理を確認し、個人作品にするか共同作品にするかも希望に合わせます。
施設の公開事例から、進め方の工夫を拾う
次の2件は、施設がブログで公表した活動の報告です。先ほどの5案をそのまま実施した記録ではありませんが、題材の用意や役割の作り方を考える参考になります。
写真の題材と、話しやすい席の配置
ハートケアグループは、デイセンターリハビリプラザなでしこで、生活道具の写真などを囲んで話す取り組みを紹介しています。話し始めに職員が質問を添えることや、互いの顔が見える机の配置も報告されています。約10人での活動で、本稿の2〜4人という企画例とは人数が異なります。3)
少人数の場へ取り入れるなら、まず本人が関心を持つ写真を用意し、見やすさ・聞きやすさを確かめる方法が考えられます。これは報告を参考にした提案です。懐かしい話を必ず引き出すことや、記憶を試すことを目的にしないようにします。
色を探すことも、共同作品の役割になる
ふくろうの杜のデイサービス南では、季節の壁画に使う緑色や茶色の部分を、利用者が新聞の写真などから探して切り抜いたと報告しています。完成品を作る工程の中に、色を探す役割がある事例です。4)
この工夫を参考に、切る作業が難しい人には「どの色を使いたいか」を選んでもらう方法も考えられます。選ぶ、切る、貼るを全員に同じように求めず、本人の希望に合わせます。この役割分担は本稿の提案で、紹介した施設で同じ対応をしていたと確認したものではありません。
どちらも施設側の活動報告で、認知症予防などの効果を証明する資料ではありません。参加者の状態や職員体制も異なるため、楽しそうな様子だけで自分の事業所にも合うと判断せず、本人の反応を確かめながら調整します。
一つの活動を、全員が同じ方法で行わなくてもよい
発言、指差し、見学など、参加方法を複数にするときも、本人へ確かめてから進めます。認知症があっても、日々の活動を選ぶ本人の意思を大切にすることは変わりません。話す量の多い人だけで進まないよう、答えを急かさず、一人ずつ選べる間を作りましょう。2)
疲れや痛み、不快感があれば途中で終えます。用意した材料を使い切る必要はありません。終わった後は、好んだ題材、負担になった場面、次回も希望するかを短く残すと、同じ活動を押し付けずに続けやすくなります。脳トレを組み合わせる場合の効果の考え方は、こちらも参考にしてください。
高齢者の脳トレは認知症予防になる?効果の考え方と無理なく楽しむ選び方
参考
- 国立長寿医療研究センター「あたまとからだを元気にする MCIハンドブック」
- 厚生労働省「認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン(第2版)」2025年3月
- ハートケアグループ通信ブログ「『思い出話』で認知症予防!~回想法の取り組み2~」
- ふくろうの杜「恒例の壁画(デイサービス南)」
施設の実施報告・意思決定支援資料の確認:2026年10月6日/MCIハンドブック:2026年9月28日
この記事を監修した人
野崎理香 / 正看護師
正看護師として、がん専門センターおよびリハビリ病院に勤務後、訪問看護の現場に従事。
日々のケアを通じて、「本当は聞きたいことがあるのに、時間に追われて質問できない」という利用者様の声に直面し、その課題を解決するため、介護情報サービス「ケアポケ」の立ち上げに参画。
現場での実体験をもとに、看護や在宅ケアに関する実践的な情報提供と記事の監修に取り組む。
座って行うレクリエーションは、運動以外にも、写真を選ぶ、物を分ける、会話をつなぐなどの方法があります。少人数なら、話す人だけでなく、指差しで選ぶ人、見るだけの人も関われる形を考えましょう。ここでは、施設やデイサービスで準備しやすい活動例を紹介します。