病気・症状
目次
- 1. 床ずれができたら、まず何をすればいい?
- 2. 「おむつかぶれ」だと思っていたら床ずれだったケースもあります
- 3. 見た目より皮膚の奥で深くなっていることがあります
- 4. 床ずれはお尻だけではありません
- 5. 床ずれができたときに自己判断で行わない方がよいこと
- 5-1. 赤い部分を強く揉む・マッサージする
- 5-2. 傷の状態を見ずに消毒を続ける
- 5-3. 市販の軟膏を自己判断で塗り続ける
- 5-4. 黒くなった部分や傷の中を自分で取る
- 6. 床ずれの処置は家族が毎日しなければいけない?
- 7. 訪問看護では床ずれにどんな対応をする?
- 8. こんな変化があれば早めに医師・看護師へ相談しましょう
- 9. 床ずれができた原因も一緒に見直しましょう
- 10. よくあるQ&A
- 10-1. 床ずれは家で洗ってもいいですか?
- 10-2. 床ずれは乾かした方がいいですか?
- 10-3. おむつかぶれと床ずれはどう見分けますか?
- 10-4. 何科を受診すればいいですか?
- 10-5. 訪問看護を利用していない場合はどうすればいいですか?
- 11. まとめ
専門家の回答
床ずれができたら、まず何をすればいい?

床ずれが疑われる赤みや傷を見つけたら、最初にその部分へ圧がかかり続けないようにします。床ずれは圧迫やずれなどによって皮膚やその下の組織が傷つくため、同じ場所を下にしたままにしないことが大切です。
- 赤みや傷がある部分への圧迫を避ける
- いつ気づいたか、どこにできたかを確認する
- 赤み・水疱・皮むけ・出血・滲出液などを確認する
- 必要に応じて本人の同意を得て写真を記録する
- 訪問看護師や医師へ相談する
日本褥瘡学会も、床ずれが疑われる場合には圧迫を避け、医師または看護師へ相談するよう案内しています。
「おむつかぶれ」だと思っていたら床ずれだったケースもあります
おむつを使っている高齢者では、お尻や陰部周辺が赤くなることがあります。尿や便による刺激で起こる皮膚炎と、圧迫によって起こる床ずれは見た目が似ていて、家族だけでは判断しにくい場合があります。
訪問時に、ご家族は「おむつかぶれだと思っていた」というケースもありました。皮膚の赤みだけでは違いが分かりにくく、普段から床ずれについて詳しく知らなければ、初期の段階で気づくのは簡単ではありません。
「おむつを使っているからかぶれだろう」と決めつけず、赤みが続く、皮膚が破れている、傷が深そうに見える場合は専門職へ相談しましょう。
見た目より皮膚の奥で深くなっていることがあります
床ずれは、表面に見えている傷の大きさだけでは重症度を判断できないことがあります。傷口は小さく見えても、皮膚の下で組織が傷み、ポケット状・空洞状に広がっている場合があります。
実際に訪問したときには、表面の傷だけでは分かりにくかったものの、皮膚の下まで深く進み、中が空洞のようになっている褥瘡ができていたケースもありました。
見た目が小さいから軽いとは限らないため、皮膚が破れている時点で家族だけで深さを判断せず、医師や看護師に確認してもらうことが大切です。
床ずれはお尻だけではありません
床ずれというと仙骨やお尻をイメージしやすいですが、その人の姿勢や身体の状態によっては、膝、肘、かかと、くるぶし、足の指などにも圧が集中します。
拘縮が強い方では、膝同士や関節まわりが当たり続けて皮膚トラブルにつながることもありました。また、靴のサイズが合っておらず、足の指先へ長時間圧がかかって傷ができ、かなり重症化していたケースもあります。
ベッドに触れている場所だけでなく、靴・装具・車椅子など「何かが当たり続けている場所」がないかも確認します。
足先が黒く変色する、乾燥して組織が壊死しているように見える場合などは、自宅で切ったり剥がしたりせず、早めに医療機関へ相談してください。
床ずれができたときに自己判断で行わない方がよいこと
赤い部分を強く揉む・マッサージする
血流をよくしようとして床ずれが疑われる場所を強く揉むことは避けましょう。皮膚やその下の組織へさらに負担をかける可能性があります。
傷の状態を見ずに消毒を続ける
日本褥瘡学会では、床ずれの傷は十分な量の生理食塩水または水道水で洗浄することを勧めています。また、通常は消毒が必要ないとしています。ただし、明らかな感染があり滲出液や膿が多い場合などには、医療者の判断で消毒を行うことがあります。
「傷だから毎日消毒」と決めつけず、傷の状態に合わせた処置を医師・看護師へ確認しましょう。
市販の軟膏を自己判断で塗り続ける
床ずれに使う外用薬や創傷被覆材は、傷の深さ、滲出液の量、感染の有無などによって選び方が変わります。傷に合わない薬を漫然と使うと、治癒を妨げる可能性があります。
黒くなった部分や傷の中を自分で取る
床ずれでは壊死した組織を取り除く「デブリードマン」が必要になる場合がありますが、これは傷の状態を評価して行う医療的な処置です。黒くなった皮膚や組織を家族が自分で切る・剥がすことは避けてください。
床ずれの処置は家族が毎日しなければいけない?
在宅介護では、医師から処置方法の指示を受け、家族が洗浄や被覆材の交換などを行うケースもあります。しかし、すべての家庭で家族が処置を担えるとは限りません。
実際には、処置方法を一度説明しても「手順が分からなくなる」「覚えるのが難しい」と感じるご家族もいました。その場合は、無理に家族だけで続けてもらうのではなく、訪問看護師が処置を行っていたケースもあります。
床ずれの状態は変化するため、「このやり方を覚えればずっと同じ」ではありません。家族が難しいと感じたら、早めに相談して大丈夫です。
訪問看護では床ずれにどんな対応をする?
訪問看護を利用している場合、看護師が自宅で皮膚や傷の状態を確認し、医師の指示に基づいた処置を行うことがあります。
- 床ずれの場所・大きさ・深さなどを確認する
- 滲出液、出血、臭い、周囲の赤みなどを観察する
- 医師の指示に基づいて洗浄や外用薬、被覆材などの処置を行う
- 床ずれが悪化していないか経過を確認する
- 体位変換やクッション、エアマットなどの環境を確認する
- 必要に応じて主治医へ状態を報告・相談する
- 家族ができる処置方法や観察ポイントを説明する
「傷の処置だけ」を見るのではなく、なぜその場所へ圧がかかっているのか、食事や栄養、排泄、寝具なども含めて考えていきます。
こんな変化があれば早めに医師・看護師へ相談しましょう
- 皮膚が破れて傷になっている
- 傷が深い、または中が空洞のように見える
- 黒色・紫色など強い変色がある
- 出血している
- 膿のようなものや滲出液が増えている
- 悪臭がある
- 周囲の赤みや腫れが広がっている
- 痛みが強くなっている
- 発熱や元気がないなど全身状態にも変化がある
- 短期間で傷が大きくなっている
感染が疑われる場合には、洗浄だけでなく、壊死組織の除去や抗菌薬など医療的な対応が必要になることがあります。悪化するまで様子を見続けず、早めに相談しましょう。
床ずれができた原因も一緒に見直しましょう
床ずれの傷だけを処置しても、同じ場所への圧迫やずれが続けば改善しにくくなります。
- 長時間同じ姿勢が続いていないか
- 自力で寝返りができるか
- マットレスやクッションが本人に合っているか
- 拘縮で特定の場所同士が当たり続けていないか
- 靴や装具のサイズが合っているか
- おむつ内が尿や便で湿った状態になっていないか
- 痩せや浮腫など身体状態が変化していないか
- 食事量や栄養状態が低下していないか
必要に応じて、体位変換やエアマットなどの床ずれ防止用具も含めて、訪問看護師・ケアマネジャー・福祉用具専門相談員などと環境を見直しましょう。
よくあるQ&A
床ずれは家で洗ってもいいですか?
日本褥瘡学会では、十分な量の生理食塩水または清潔な水道水による洗浄を勧めています。ただし、傷の深さや感染状態によって処置は異なります。初めて床ずれを見つけた場合は、自己判断で処置を続ける前に医師・看護師へ相談してください。
床ずれは乾かした方がいいですか?
床ずれは傷の状態や滲出液の量に応じて適切な外用薬や被覆材を選びます。「乾かせば治る」と一律に考えず、傷に合った処置を専門職へ確認しましょう。
おむつかぶれと床ずれはどう見分けますか?
赤みの場所や形、圧がかかっている部位かどうかなどが判断材料になりますが、家族だけでは区別が難しいことがあります。赤みが続く、傷になっている、皮膚の変化が強い場合は専門職へ相談してください。
何科を受診すればいいですか?
日本褥瘡学会によると、褥瘡は皮膚科、形成外科、外科、内科、整形外科などさまざまな診療科で診療されています。まずはかかりつけ医や訪問看護師へ相談し、必要な診療科につないでもらう方法もあります。
訪問看護を利用していない場合はどうすればいいですか?
まずはかかりつけ医やケアマネジャーへ相談しましょう。床ずれの処置や継続的な観察が必要な場合には、訪問看護の利用を検討できることもあります。
まとめ
床ずれは、最初はおむつかぶれや小さな皮膚トラブルのように見えることがあります。また、表面の傷より皮膚の下で深く進んでいる場合もあり、見た目だけで重症度を判断することはできません。
傷を見つけたら、まず圧迫を避け、いつから・どのように変化しているかを確認しましょう。自己判断で強く揉む、市販薬を塗り続ける、黒い組織を剥がすといった対応は避け、医師や看護師へ相談してください。
また、家族が毎日の処置を難しいと感じることもあります。処置方法を覚えられないことや、傷を見るのが怖いことを理由に無理をする必要はありません。訪問看護なども利用しながら、本人と家族が安全に続けられる方法を考えていきましょう。
参考
この記事を監修した人
野崎理香 / 正看護師
正看護師として、がん専門センターおよびリハビリ病院に勤務後、訪問看護の現場に従事。
日々のケアを通じて、「本当は聞きたいことがあるのに、時間に追われて質問できない」という利用者様の声に直面し、その課題を解決するため、介護情報サービス「ケアポケ」の立ち上げに参画。
現場での実体験をもとに、看護や在宅ケアに関する実践的な情報提供と記事の監修に取り組む。
床ずれ(褥瘡)は、見た目だけでは深さや状態を判断しにくいことがあります。赤みや皮むけ程度に見えても、皮膚の下で深く進んでいる場合もあります。
床ずれかもしれない傷を見つけたら、まずその部分への圧迫を避け、自己判断で強く揉んだり、傷の状態に合わない薬を塗り続けたりせず、医師や看護師へ相談しましょう。