病気・症状
専門家の回答
緩和ケアは、がん治療と一緒に受けられます

緩和ケアは、がんに伴う体や心のつらさを和らげ、本人と家族の生活を支えるケアです。がんと診断されたときから、必要に応じて治療と並行して行われます。治療を終えると決まってからでなければ相談できない、というものではありません。1)2)
「緩和ケアの話が出たから、もう何もできないのでは」と感じたら、何を目的に勧められたのか聞いてみてください。痛みを和らげて眠れるようにする、吐き気への対応を相談するなど、今困っていることに結び付けて説明を受けられます。
訪問看護で関わった中では、緩和ケアが選択肢として知られていないことがありました。がんの治療が難しいと分かり、希望を見いだせずにいる方やご家族に、苦痛を和らげるケアについて提案していました。
がんへの治療が難しいことと、つらさに対してできることがないことは同じではありません。「今の痛みや不安を和らげる方法はありますか」と聞くことで、次の相談につなげられます。また、この体験談のような時期まで待つ必要はなく、がん治療を受けている間も相談できます。1)
痛み以外のつらさも伝えてよい
体の痛みだけでなく、息苦しさやだるさ、気分の落ち込み、不安、生活上の問題なども相談の対象になります。本人が病状の説明では遠慮してしまうような困りごとも、医師や看護師に伝えて構いません。1)
| 見ること | 伝える例 |
|---|---|
| いつ困るか | 夜に痛くて目が覚める、食後に吐き気がある |
| 何ができないか | 眠れない、食事をとれない、トイレまでの移動がつらい |
| 薬の使用 | 薬名、飲んだ時刻、効き方、気になった変化 |
| 本人の希望 | 家で眠りたい、家族と食卓に座りたい |
| 家族の負担 | 夜の対応が続き、家族も休めていない |
家族が先回りして症状を決めつけず、本人が言ったことと、家族が見たことを分けて伝えます。「本人は大丈夫と言うが、昨夜は何度も起きていた」のような説明でも相談の手がかりになります。すべてを数値で記録する必要はありません。
まずは担当医や看護師へ、今のつらさを相談する
通院・入院中なら、担当医や看護師に「緩和ケアも相談したい」と伝えられます。必要に応じて、専門的な緩和ケアチームや外来と連携します。自宅で療養している場合は、在宅医や訪問看護師にまず相談できます。利用できる体制は地域や医療機関で異なります。1)
相談先が分からない場合は、がん相談支援センターでも整理を手伝ってもらえます。家族だけの相談も可能です。受付で「緩和ケアについて、今の病院で誰に聞けばよいか知りたい」と伝える方法があります。3)
緩和ケアを受けることと、病棟へ入ることは別です
緩和ケアには、一般の病棟で専門チームが関わる方法、外来での相談、自宅でのケア、緩和ケア病棟など、さまざまな受け方があります。相談したら必ず転院や入院になるわけではありません。1)
病棟の利用を提案された場合には、今回の相談の目的に加え、入院条件や、続けられる治療、費用、退院や在宅療養との関係をその施設へ確認します。緩和ケア全体の説明と、個別の病棟のルールを分けて考えましょう。
家で過ごすなら、次の診察までの連絡方法を聞く
症状への薬が処方されたら、指示された使い方に加え、「効かないときはどうするか」「どの変化があれば連絡するか」を確認しておきます。家族がほかの人の薬を渡したり、独自に量を増減したりしないでください。
| 場面 | 確認すること |
|---|---|
| 症状が続く | どの程度・どのくらい続いたら連絡するか |
| 薬で困る | 使えないときや、気になる変化が出たときの連絡先 |
| 夜間・休日 | 時間外は誰に電話し、つながらなければどうするか |
| 次の診察 | 今回のケアが合っていたか、何を記録して相談するか |
急な強い息苦しさや意識の変化など、緊急性が疑われる場合は、定期の相談まで待たず対応が必要です。自宅での療養方針と急変時の連絡・救急要請の方法を、前もって担当の医療者と具体的に決めておきましょう。
家族自身のつらさも相談に含める
本人のつらさを少なくしたいと思うほど、家族が我慢を重ねることがあります。緩和ケアは家族の支援も含みます。眠れていない、仕事と付き添いを続けるのが難しい、不安で落ち着かないといったことも伝えてください。1)
「まだ早いかどうか」を家族だけで決めるより、今困っていることを一つ挙げて相談してみてください。病状だけでなく、親が続けたい生活と、家族が担える範囲を共有することが、支援を考える入り口になります。
参考
情報確認日:2026年9月11日
この記事を監修した人
野崎理香 / 正看護師
正看護師として、がん専門センターおよびリハビリ病院に勤務後、訪問看護の現場に従事。
日々のケアを通じて、「本当は聞きたいことがあるのに、時間に追われて質問できない」という利用者様の声に直面し、その課題を解決するため、介護情報サービス「ケアポケ」の立ち上げに参画。
現場での実体験をもとに、看護や在宅ケアに関する実践的な情報提供と記事の監修に取り組む。
緩和ケアは、がんの治療中でも必要に応じて受けられます。痛みや不安、生活で困っていることを担当医や看護師へ伝えましょう。緩和ケアの相談は、治療中止や病棟への入院と同じ意味ではありません。