病気・症状
専門家の回答
まず、親と近くで過ごす場面を減らす

同居家族が感染したら、寝る場所や食事の時間を分けるなど、親と顔を近づけて過ごす場面を減らします。感染した人自身も休めるよう、家族でできる分担を考えましょう。CDCは、家庭での濃厚な接触を減らし、手洗い、マスク、空気の入れ替えなどを組み合わせる対策を案内しています。[2]
別室がない家庭で「完全に隔離できないから何もできない」と考える必要はありません。同じ部屋で長く話す時間を短くする、向かい合う食事を避けるなど、生活の中で変えられる場面を探します。これらは対策を生活に取り入れる例で、感染を完全に防ぐ保証ではありません。
介助が必要なら、接触を減らすことと安全を両立する
トイレや移乗に手助けが必要な親を、感染が心配だからと一人で動かすことは避けます。食事・排泄・薬など、今日欠かせない支援を書き出し、体調のよい家族や利用中の事業所へ相談しましょう。
| 食事 | 調理、配膳、食べる介助のうち、誰が何を代われるか |
|---|---|
| 移動・排泄 | 普段必要な介助と、代わりの人にもできる動作を確認 |
| 薬 | いつもの薬を誰が確認するか。自己判断で処方を変更しない |
| 訪問サービス | 訪問前に家庭内の感染を伝え、訪問方法や対応可能な範囲を相談 |
普段の介助者しか対応できない場合は、「別の家族に頼んで」で終わらせず、その事情を訪問看護師やケアマネジャーなどに伝えます。感染した家族がいることを伏せたまま訪問を受けたり、親を別の家へ移したりせず、受け入れる側と状況を共有して決めてください。
訪問看護で関わった中では、親戚などの協力が得にくく、家族が感染しても介助を交代できない場面がありました。
「体調のよい人に交代する」という方法が、その家庭で実行できるとは限りません。交代できる人がいない場合は、必要な介助と時間帯を具体的に伝えて相談します。感染した家族が、できない分まで無理をして補うことを前提にしないためにも、協力者がいない事情を最初から共有してください。
手洗い・換気・マスクは、よくある接触場面に合わせる
鼻をかんだティッシュや洗濯物などを扱った後は手を洗います。石けんと水が使えない場合にはアルコール手指消毒を利用できます。換気と、よく触る場所の清掃も組み合わせましょう。近くで対応するときのマスクは、追加の対策になります。[2]
マスクを着ければ、長時間近くにいても安全という意味ではありません。親がマスクを扱えない、装着が苦しいなどの場合も、無理に着けさせることだけを対策にせず、距離や換気、介助の分担を見直します。消毒薬は製品の表示どおり使い、違う洗剤を混ぜないでください。
熱が下がっても、すぐに普段どおりへ戻さない
厚生労働省は、一般に発症前日から発症後3〜7日間はウイルスを排出すると説明しています。熱が下がっても排出が続くことがあるため、「解熱したからもううつらない」とは判断できません。[1]
発症日や症状の経過を控え、療養中の過ごし方は診察時の説明に従います。家族の感染を知った時点からでも対策を始め、親の様子を確認してください。「何日たったら絶対安全」という家庭用の線引きはできません。
親に症状が出たら、受診先へ早めに連絡する
親に発熱や咳、強いだるさなどが出たら、家族がインフルエンザと診断されたこと、症状が始まった時期、持病と服薬をかかりつけ医に伝えます。高齢者や持病のある人は、合併症にも注意が必要です。受診方法を電話で確認し、家に残っている薬を渡して済ませないようにしましょう。[1]
強い息苦しさや、呼びかけても反応しにくいなどの変化があれば、119番へ連絡してください。尿が出ない、著しく弱っている、いったん改善した熱や咳が再び悪化した場合なども、速やかに医療機関へ相談します。[2]
流行の数字より、家庭での連絡と分担を先に決める
2026年9月11日公表の全国の定点報告では、8月31日〜9月6日のインフルエンザ報告数は12,299件でした。これは報告対象の医療機関からの数で、国内すべての感染者数ではありません。地域の状況も異なります。[3]
家族が感染したときには、流行が大きいかどうかを待たず、親との接触、必要な介助、症状が出た場合の連絡先を整理できます。感染予防だけでなく、介助する人自身が休める分担にすることも大切です。
発熱した親を冷やすか迷ったら
参考
情報確認日:2026年9月15日。
この記事を監修した人
野崎理香 / 正看護師
正看護師として、がん専門センターおよびリハビリ病院に勤務後、訪問看護の現場に従事。
日々のケアを通じて、「本当は聞きたいことがあるのに、時間に追われて質問できない」という利用者様の声に直面し、その課題を解決するため、介護情報サービス「ケアポケ」の立ち上げに参画。
現場での実体験をもとに、看護や在宅ケアに関する実践的な情報提供と記事の監修に取り組む。

感染した家族と親が近くで過ごす時間を減らし、手洗い・換気・マスクなどを組み合わせます。介助が欠かせない場合は、誰が何を担えるかを早めに相談しましょう。親に症状が出たときの連絡先も先に確認します。