お金のこと
2026.10.06 作成
2026.10.06 更新
介護費用が払えないときはどうする?家族が相談できる制度と窓口
目次
- 1. 介護費用が払えないときは、支払いと介護の相談を一緒に進める
- 2. 請求書の合計だけでなく、「何にかかったお金か」を確認する
- 3. 負担を軽くする制度は、対象の費用と条件を分けて確認する
- 3-1. 高額介護サービス費:介護保険の自己負担が高くなった場合
- 3-2. 負担限度額認定:対象施設の食費・部屋代の軽減
- 3-3. 自治体独自の助成や、社会福祉法人による軽減も聞いてみる
- 4. 生活費全体が足りないときは、福祉事務所へ相談する
- 5. サービスを減らす前に、生活への影響をケアマネジャーと考える
- 6. よくある質問
- 6-1. 家族が立て替えられないと、相談しても無駄ですか?
- 6-2. 減免や助成は、申請すれば必ず使えますか?
- 6-3. すでに滞納しています。何から連絡すればよいですか?
- 7. まとめ:請求書を手元に、支払いが難しいことを伝える
- 8. 出典・参考資料
専門家の回答
介護費用が払えないときは、支払いと介護の相談を一緒に進める

「今月の請求を払えない」「貯金を取り崩しているが、この先が心配」。介護費用の困りごとは、滞納してからでなくても相談できます。まず担当のケアマネジャーや施設の相談員へ、いつから、どの支払いが難しくなりそうかを伝えてください。
支払期限が近い場合は、請求元にも直接連絡します。「今月分の○円について、期日までの支払いが難しい」と伝え、相談できる担当者と今後の手続きを確認してください。分割や猶予に対応できるかは、契約や相手方によって異なります。連絡しただけで支払いが免除されるわけではありません。
そのうえで、市区町村の介護保険窓口に負担を軽くする制度を相談します。介護サービスの費用には軽減措置がありますが、すべての請求が対象になるわけではありません。1) 生活費全体が足りない場合は、福祉事務所など生活を支える窓口にもつないでもらいましょう。4)
訪問看護で気づくお金の困りごとは、介護サービスの料金だけではありませんでした。食費が足りない、光熱費の支払いが漏れているといった状況を、その都度ケアマネジャーへつないでいました。相談するときは、介護の請求書だけでなく、食事や毎月の支払いで困っていることも伝えてください。
お金のことを話しにくいときは、無理に一度ですべて説明しなくても構いません。訪問看護では、相談をためらう気持ちをまず受け止めるようにしていました。話せる範囲で、今いちばん困っている支払いから伝える方法もあります。
請求書の合計だけでなく、「何にかかったお金か」を確認する
介護費用と呼んでいても、中身は介護保険サービスの自己負担、食費、部屋代、日用品などに分かれます。在宅サービスでは、支給限度額を超えた利用分が全額自己負担になることもあります。1) 請求書の内訳が分からなければ、発行元へ説明をお願いして構いません。
| 費用の種類 | 確認すること |
|---|---|
| 介護保険サービスの自己負担 | 負担割合、利用回数、前月から増えた項目 |
| 食費・部屋代・日用品など | 毎月かかる金額と、介護保険外の項目 |
| 限度額を超えた利用・自費サービス | どの利用が全額自己負担になっているか |
| 医療費・家賃・光熱費など | 介護費用以外も含め、毎月どれくらい不足するか |
介護保険料の納付書と、サービス事業所からの利用料の請求書も別のものです。保険料そのものの支払いが難しい場合は、市区町村の介護保険窓口に「保険料の相談」と伝えます。書類の名前を見せると、担当窓口を間違えにくくなります。
家族が立て替えている場合は、本人の支払いと家族が出した分を分けて記録しておくと、家計の状況を説明しやすくなります。請求額だけでなく「今月は払えるが、来月以降は難しい」といった見通しも相談材料です。親の年金額だけを見て、使える制度がないと決めつけないでください。
介護保険サービスの自己負担は原則1割、一定以上の所得がある方は2割または3割です。ただし、自己負担割合が低くても、食費や光熱費などを合わせると暮らしが厳しい場合があります。1) 光熱費の未払いについても、お金が足りないのか、請求に気づかない・支払い手続きが難しいのかを分けて確認します。支払期限や供給停止の通知がある場合は、請求元への連絡と生活の相談を並行して進めてください。
負担を軽くする制度は、対象の費用と条件を分けて確認する
高額介護サービス費:介護保険の自己負担が高くなった場合
1か月の介護保険サービスの自己負担が、所得区分などに応じた上限を超える場合、申請により超えた分が支給される制度です。食費や居住費、福祉用具の購入費、住宅改修費などは対象外です。「介護に使ったお金がすべて戻る制度」ではありません。2)
市区町村の介護保険窓口に、対象になる請求か、申請が済んでいるか、支給までどれくらいかかるかを確認します。払い戻しを受けられる場合でも、今月の支払いに間に合うとは限りません。目の前の支払いの相談は、請求元と並行して進めてください。
負担限度額認定:対象施設の食費・部屋代の軽減
介護保険施設や対象のショートステイで、食費・居住費などの負担を軽くする仕組みです。所得・資産などの要件があり、市区町村への申請と認定が必要です。すべての老人ホームや通所サービスの食費に同じ仕組みが使えるわけではないため、利用中の施設・サービスが対象かを確認してください。1)3)
自治体独自の助成や、社会福祉法人による軽減も聞いてみる
地域や事業者によっては、一定の条件で利用者負担を軽くする仕組みがあります。例えば横浜市では独自の自己負担助成などが案内されていますが、全国共通の制度ではありません。住んでいる市区町村で使えるものと、利用中の事業者が対応しているものを確認します。2)
金額や条件は制度ごとに異なります。「年金はいくら、預貯金はどれくらい、利用しているサービスはこれ」と分かる範囲で伝え、「対象になりそうな制度を一緒に確認したい」と相談する方法があります。申請期限や更新の必要性も、その窓口で聞いておくと安心です。
生活費全体が足りないときは、福祉事務所へ相談する
介護費用だけでなく、食事や住まいなどの生活費も不足する場合は、生活保護について福祉事務所へ相談できます。生活保護は、収入や資産など世帯の実際の状況を踏まえて判断される制度です。「年金を受け取っているから対象外」と一律に決まるものではありません。5)
必要な書類がそろっていなくても申請できます。また、別居の親族に相談してからでなければ申請できないということもありません。本人だけでは説明が難しい場合は、家族や支援者と一緒に窓口へ状況を伝えてください。4)
ただし、生活保護を申請すれば、これまでの未払い費用がすべて解消されるわけではありません。今必要な生活の支援と、すでに発生している請求の扱いは、それぞれ相談して整理します。「何を払えていないか」「食べ物や住む場所に困っているか」も具体的に伝えましょう。
サービスを減らす前に、生活への影響をケアマネジャーと考える
支出を減らそうとして、訪問や通いのサービスをすぐにやめたくなることもあると思います。その前に、どの介助が必要か、家族が代われる時間はあるかをケアマネジャーと整理してください。ケアプランは本人や家族の希望、心身や生活の状況を踏まえて作成・調整するものです。6)
例えば、訪問がなくなった日に食事や薬の管理が難しくならないか、デイサービスを減らすことで家族が仕事を休む必要がないかも考えます。単に回数を減らすだけでなく、費用と必要な支援を一緒に相談することが大切です。すぐに解決できない場合も、次に誰へ連絡するかを決めておきましょう。
介護サービスの利用を減らした後、家の中にごみがたまっていたケースがありました。費用を減らす相談では、サービスが担っている家事や介助を、減らした後に誰が行えるかも確認してください。すでに片づけや食事の準備が難しくなっている場合は、その状況をケアマネジャーへ具体的に伝えます。
| 手元にあれば用意するもの | 伝えたい内容 |
|---|---|
| 請求書・利用明細・支払いの案内 | 不足している金額、期限、未払いの有無 |
| 介護保険証・負担割合証など | 利用しているサービスと認定の状況 |
| 年金や収入、家賃などが分かるメモ | 本人の毎月の収支、家族が負担している金額 |
| 家族や支援者の連絡先 | 本人の同意を得て一緒に相談する人、連絡を受ける人 |
これは相談を進めやすくするための準備例で、すべてそろわないと相談できないという意味ではありません。通帳や資料をすぐに確認できない事情も、そのまま伝えて構いません。申請に必要な書類は、利用する制度の窓口で改めて確認します。
よくある質問
家族が立て替えられないと、相談しても無駄ですか?
相談できます。「家族からの援助が難しい」という状況も含めて伝えてください。生活保護の申請についても、別居の親族への事前相談が条件ではありません。家族が負担できることを前提にせず、本人と世帯の状況を窓口で確認します。4)
減免や助成は、申請すれば必ず使えますか?
使えるかどうかは、所得・資産、対象サービス、自治体や事業者の条件などで異なります。申請の有無だけでなく、いつの利用分から対象になるか、認定や支給までの期間も確認してください。
すでに滞納しています。何から連絡すればよいですか?
請求元に、どの月の分が未払いかと支払いが難しい事情を伝え、担当者へ相談します。同時にケアマネジャーや自治体へ、介護の継続と利用できる支援を相談してください。食事や住まいにも困っている場合は、その切迫した状況を最初に伝えます。
施設入所に関係する制度の概要は、老人ホームの入所時に使える負担軽減制度の記事、生活保護と施設選びの関係は、生活保護を受けながら老人ホームへ入る場合の記事でも扱っています。個別の適用条件は最新の窓口案内で確認してください。
まとめ:請求書を手元に、支払いが難しいことを伝える
介護費用が払えないときは、請求元への支払い相談と、ケアマネジャー・自治体への支援の相談を並行して進めます。費用の内訳を見て、介護保険の自己負担なのか、食費や部屋代なのかを分けると、使える制度を確認しやすくなります。まずは請求書を手元に置き、「いつ、どの支払いが難しいか」を伝えてください。書類や家族の話し合いがすべて整うまで、相談を待つ必要はありません。
出典・参考資料
- 厚生労働省「サービスにかかる利用料」
- 横浜市「介護サービスの利用者負担軽減について」
- 横浜市「介護保険制度における負担限度額認定証とは何ですか」
- 厚生労働省「生活保護を申請したい方へ」
- 厚生労働省「生活保護制度」
- 厚生労働省「サービス利用までの流れ」
情報確認日:2026年9月9日
この記事を監修した人
野崎理香 / 正看護師
正看護師として、がん専門センターおよびリハビリ病院に勤務後、訪問看護の現場に従事。
日々のケアを通じて、「本当は聞きたいことがあるのに、時間に追われて質問できない」という利用者様の声に直面し、その課題を解決するため、介護情報サービス「ケアポケ」の立ち上げに参画。
現場での実体験をもとに、看護や在宅ケアに関する実践的な情報提供と記事の監修に取り組む。
支払いが難しいと分かった時点で、ケアマネジャーや施設の相談員、請求元へ相談してください。請求の内訳を確認し、市区町村の介護保険窓口で負担軽減制度を調べます。生活費全体が足りない場合は福祉事務所にも相談し、必要な介護を減らす前に支援の組み方を考えましょう。