お金のこと
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老人ホーム入居時に利用できる補助金
老人ホームを利用する際に、出来るだけ費用を抑えるために補助金を活用する方法があります。
経済的な負担を減らすための補助金制度をご紹介します。※1
- 高額介護サービス費制度
- 高額療養費制度
- 高額介護合算療養費制度
- 介護保険負担限度額認定制度
- 社会福祉法人等利用者負担軽減制度
- 介護保険施設での医療費控除
高額介護サービス費制度
介護の自己負担上限額を超えた分は「高額介護サービス費制度」により申請することで還付されます。
高額介護サービス費の上限額は所得によって変わります。※2
区分 | 負担の上限額(月額) |
---|---|
課税所得税690万円(年収約1,160万円)以上 | 14,0100円(世帯) |
課税所得380万円(年収約770万円)〜課税所得690万円(年収約1,160万円)未満 | 93,000円(世帯) |
市町村民税課税〜課税所得380万円(年収約770万円)未満 | 44,400円(世帯) |
世帯の全員が市町村民税非課税 | 24,600円(世帯) |
前年の公的年金等収入金額+その他の合計所得金額の合計が80万円以下の方等 | 24,600円(世帯)15,000(個人) |
生活保護を受給している方等 | 15,000円(世帯) |
高額療養費制度
高額療養費制度とは、医療機関や薬局などの窓口で支払った医療費の自己負担額が一定の金額を超えた場合に、その超える金額が高額療養費として給付される制度です。
上限額は年齢、所得によって変わります。※3
制度利用者が加入している公的医療保険(健康保険組合・協会けんぽの都道府県支部・市町村国保・後期高齢者医療制度・共済組合など)に、高額療養費の支給申請書を提出することで支給が受けられます。
70歳以上の方
69歳以下の方
高額介護合算療養費制度
高額介護合算療養費制度とは、介護サービスの利用額と医療費を合算して高額となった場合に、上限額を超えた分が返還される制度です。※4
負担上限額(現状・世帯単位)
75歳以上 | 70~74歳(注1) | 70歳未満(注1) | |
---|---|---|---|
年収約 1,160万円~ | 67万円 | 67万円 | 212万円 |
年収約770~約1,160万円 | 141万円 | ||
年収約370~約770万円 | 67万円 | ||
~年収約370万円 (課税所得145万円未満) ・ 収入の合計額が520万円未満(1人世 帯の場合は383万円未満)の場合も含む。 ・ 旧ただし書所得の合計額が210万円 以下の場合も含む。 |
56万円 | 56万円 | 60万円 |
市町村民税世帯非課税 | 31万円 | 31万円 | 34万円 |
市町村民税世帯非課税 (年金収入80万円以下等) |
19万円(注2) | 19万円(注2) |
介護保険負担限度額認定制度
所得の低い方がショートステイを利用する際や以下の施設へ入所・入院する際の食費・居住費を軽減する制度です(グループホーム、有料老人ホーム等は、対象となりません。)。
対象者
対象者は、次の条件をすべて満たす方になります。
- 本人及びその配偶者(内縁関係も含む)が市民税非課税であること
- 本人と住民票上、同一世帯である方が市民税非課税であること
- 預貯金等合計額が、基準額以下であること
社会福祉法人等利用者負担軽減制度
低所得で特に生計が困難な方及び生活保護受給中の方が社会福祉法人等が提供するサービスを利用する際に負担を軽減する制度です。
対象者
市町村民税非課税の方で、以下の条件の全てを満たす方のうち、申請に基づき市町村から認定された方。
- 年間収入が単身世帯で150万円、世帯員が一人増えるごとに50万円を加算した額以下であること。
- 預貯金等の額が単身世帯で350万円、世帯員が一人増えるごとに100万円を加算した額以下であること。
- 日常生活に供する資産以外に活用できる資産がないこと。
- 負担能力のある親族等に扶養されていないこと。
- 介護保険料を滞納していないこと。
対象のサービス
- 1. 訪問介護
- 通所介護(地域密着型サービスを含む)
- 短期入所生活介護(介護予防サービス含む)
- 定期巡回・随時対応型訪問介護看護
- 夜間対応型訪問介護
- 認知症対応型通所介護(介護予防サービス含む)
- 小規模多機能型居宅介護(介護予防サービス含む)
- 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
- 看護小規模多機能型居宅介護
- 介護福祉施設サービス
- 介護予防型訪問サービス(介護予防・日常生活支援総合事業)
- 介護予防型通所サービス(介護予防・日常生活支援総合事業)
- 短時間型通所サービス(介護予防・日常生活支援総合事業)
介護保険施設での医療費控除
医療費控除とは、1月1日から12月31日までの1年間で支払った医療費の合計が一定の金額を超えた際に、所得税の還付(または納付額の減額)を受けることができる制度です。
特別養護老人ホームや介護老人保健施設を利用した場合の、介護サービス費用や食費、居住費やおむつの費用を計上することが可能です。
医療費控除の対象となるサービス
分類 | サービス種別 |
---|---|
医療費控除の対象になる居宅サービス | 訪問看護 訪問リハビリテーション 通所リハビリテーション 短期入所療養介護 居宅療養管理指導 定期巡回・随時対応型訪問介護看護(訪問看護を利用する場合) 看護小規模多機能型居宅介護(訪問看護を利用する場合) |
上記のサービスと併せて利用する場合のみ医療費控除の対象となるサービス | 訪問介護 夜間対応型訪問介護 訪問入浴介護 通所介護 地域密着型通所介護 認知症対応型通所介護 小規模多機能型居宅介護 短期入所生活介護 定期巡回・随時対応型訪問介護看護(訪問看護を利用しない場合) 看護小規模多機能型居宅介護(訪問看護を利用しない場合) |
介護サービス費の全額が医療費控除の対象になる施設サービス | 介護老人保健施設 介護療養型医療施設 介護医療院 |
介護サービス費の2分の1が医療費控除の対象となる施設サービス | 介護老人福祉施設 地域密着型介護老人福祉施設 |
医療費控除の対象外 | 認知症対応型共同生活介護 特定施設入居者生活介護 地域密着型特定施設入居者生活介護 福祉用具貸与 |
まとめ
今回は老人ホームへ入居する際に利用できる補助金制度について解説しました。
補助金とはいえ、実際にかかった費用に対する控除、また負担を軽減するもので入居後やサービス利用後の申請になります。
そのため、老人ホームの利用を検討している方だけでなく、現在利用中の方も利用できる制度です。
是非こういった補助金制度の存在を知っていただき、経済的な負担を軽減を図ってみましょう。
出典
老人ホームなどの民間の介護施設に入所する際、少しでも経済的な負担を減らしたいと悩む方もいるでしょう。
今回は、介護施設に入所する前に確認して置きたい制度についてご紹介します。