介護保険制度
専門家の回答

要支援と要介護の違いを表で確認
要介護認定は、病名だけでなく、生活の中でどのくらい介護サービスが必要かを判断する仕組みです。まずはサービスの枠組みと相談先を整理しましょう。1)3)

在宅のケアプランについて、要支援の方は地域包括支援センター等や介護予防支援の指定事業所、要介護の方は居宅介護支援事業所のケアマネジャーに相談できます。利用するサービスによって窓口や条件が異なるため、迷ったら地域包括支援センター等に確認しましょう。3)
要支援なら身体への介助は一切不要、要介護なら全員に認知症がある、という分け方ではありません。訪問・通所など似た名称でも、認定区分によってサービスの枠組みが異なります。総合事業だけを利用する場合もあるため、地域包括支援センター等へ相談してください。3)
要支援2と要介護1は、何で分かれる?
要支援2と要介護1は、一次判定の介護の手間の目安が同じ範囲にあります。そのうえで、状態が安定しているか、認知症等により予防給付などの利用を適切に理解することが難しいかといった点も審査されます。「歩けるから要支援2」「認知症という診断があるから必ず要介護1」とは決まりません。1)
認定調査や主治医意見書を基に、一次判定と介護認定審査会の審査を経て判断します。インターネットの状態像の表だけで、本人の介護度を判定することはできません。
要介護1〜5を、できる・できないの一覧にしない
次の図は、2014年度の認定情報を基に、各区分で80%以上の方に何らかの低下が見られた日常生活能力をまとめた参考資料です。個人の認定基準や、全員に当てはまる状態を示すものではありません。この図だけで本人の介護度や家族の負担を判断することはできません。5)

同じ認定区分でも、身体を支える介助が多い方と、認知症への見守り・声かけが多い方では、必要な支援が違います。「要介護3は歩けない」「要介護5は必ず寝たきり」と固定すると、本人の暮らしを見誤ります。
| 生活場面 | 介護度とは別に確認すること |
|---|---|
| 移動 | 歩けるかに加え、一人で外出して戻れるか、付き添いが必要か |
| 食事・服薬 | 口に運べるかに加え、準備・声かけ・飲み忘れの確認を誰が担うか |
| 夜間 | 起きる回数、家族が対応していること、家族が眠れているか |
| 日中の生活 | 目を離せる時間、繰り返す困りごと、家族以外に頼める人 |
この表は認定を自己採点するためではなく、家族が必要な支援を相談するための整理例です。調査では、実際の状況と対応を具体的に伝えます。2)
動ける認知症の方を支える負担は、介護度だけでは分からない
自分で動ける認知症の方を支える大変さが、介護度に十分表れていないのではないかと感じます。要支援や要介護1・2でも、目を離せない状況では家族の負担が大きくなると思います。「介護度が低いから大変ではない」とは判断しないでほしいです。
認定調査には認知機能や行動に関する項目があります。2)ただ、項目に含まれていることと、家族が負担に見合う認定や支援を得られていると感じることは別の問題です。制度上の説明だけで、「その区分ならまだ楽なはず」と家族の訴えを片づけないことが大切です。
「歩けるけれど一人では外出できない」「何度も対応が必要で仕事や睡眠を中断する」など、できる動作と支援が必要な場面を一緒に伝えましょう。記録や説明だけを家族に頑張らせるのではなく、担当ケアマネジャーや普段関わる職員にも状況の整理を手伝ってもらいます。
在宅サービスの支給限度額は、自己負担額ではない
区分支給限度基準額は、対象となる在宅サービス等を介護保険で利用する際の月ごとの枠です。2026年10月6日に自治体の公開情報で確認した単位数は、次のとおりです。4)
| 認定区分 | 1か月の区分支給限度基準額 |
|---|---|
| 要支援1 | 5,032単位 |
| 要支援2 | 10,531単位 |
| 要介護1 | 16,765単位 |
| 要介護2 | 19,705単位 |
| 要介護3 | 27,048単位 |
| 要介護4 | 30,938単位 |
| 要介護5 | 36,217単位 |
表の数字は家族が毎月払う金額ではありません。1単位の金額は地域やサービスによって異なり、利用したサービス費のうち原則1〜3割を負担します。枠を超えた利用分は全額自己負担です。食費などの別料金や、この枠とは別に扱うサービスもあるため、施設の月額費用とも混同しないでください。4)
認定結果を、実際の支援につなげるには
通知書の区分と有効期間を確認し、希望するサービスが利用できるか、現在の困りごとに足りるかを担当者と相談します。結果に疑問があれば市区町村の認定担当窓口で説明を受け、状態の変化や伝わっていない介助があれば併せて伝えてください。
家族が眠れない、仕事を続けられないなどの困りごとは、認定結果の相談と並行してケアマネジャーや地域包括支援センターへ伝えましょう。区分を知ることが目的ではなく、本人と家族が生活を続けられる支援へつなげることが大切です。
申請から利用までの流れは、こちらで確認できます。
要介護認定を受けるには?介護保険の申請方法や流れを分かりやすく解説
参考資料
- 厚生労働省「要介護認定はどのように行われるか」
- 厚生労働省「認定調査員テキスト」令和6年4月
- 横浜市「介護保険のあらまし」
- 立川市「居宅でサービスを利用する場合の支給限度額」
- 国土交通省公開資料「要介護状態区分別の状態像」(平成26年度認定情報・平成28年2月15日時点の集計)
情報確認日:2026年10月6日(状態像図の資料は10月7日確認)
この記事を監修した人
野崎理香 / 正看護師
正看護師として、がん専門センターおよびリハビリ病院に勤務後、訪問看護の現場に従事。
日々のケアを通じて、「本当は聞きたいことがあるのに、時間に追われて質問できない」という利用者様の声に直面し、その課題を解決するため、介護情報サービス「ケアポケ」の立ち上げに参画。
現場での実体験をもとに、看護や在宅ケアに関する実践的な情報提供と記事の監修に取り組む。
要支援は1・2、要介護は1〜5に分かれ、利用するサービスの枠組みや支給限度額が異なります。ただし、介護度は家族の疲れや見守りの大変さをそのまま表す数字ではありません。認定区分と、実際に必要な支援を分けて確認しましょう。