介護
専門家の回答
通院などの短い休みか、支援を整える期間かで考える

親の通院への付き添いやケアマネジャーとの打ち合わせなど、短時間の用事には介護休暇を検討できます。介護休業は、まとまった期間を使ってサービスの手配や家族の分担などを整えるときの選択肢です。休業中に家族がすべての介護を担う前提にする必要はありません。1)2)
| 比較すること | 介護休暇 | 介護休業 |
|---|---|---|
| 日数 | 対象家族1人なら年5日、2人以上なら年10日まで | 対象家族1人につき通算93日まで、3回まで分割 |
| 取り方 | 1日または時間単位。時間単位は業務等による例外あり | 期間を決めて申し出る |
| 申出 | 口頭での申出も可能。社内手続きを確認 | 原則、開始希望日の2週間前までに書面等で申出 |
| 賃金等 | 有給・無給は会社の規定による | 会社の賃金規定と、雇用保険の給付要件を別に確認 |
表は法律上の基本です。会社がこれより利用しやすい制度を設けている場合もあります。介護休暇の年10日は、家族が2人以上の場合の合計であり、家族1人ごとに5日ずつ増え続ける仕組みではありません。2)
対象は正社員だけではないが、契約等の条件を確認する
いずれも要介護状態にある対象家族を介護する労働者の制度で、日々雇用される人は除かれます。対象家族には父母のほか、配偶者、子、祖父母、兄弟姉妹、孫、配偶者の父母が含まれます。要介護状態は法律上の定義で判断するため、家族の状態を会社へ説明して確認してください。1)2)
介護休業では、有期雇用の場合、休業開始予定日から93日を経過する日からさらに6か月を経過する日までに、契約が満了し更新されないことが明らかでないことが必要です。また労使協定によって、継続雇用1年未満、申出から93日以内に雇用が終わることが明らかな人、週の所定労働日数が2日以下の人が対象外となる場合があります。1)
一方、介護休暇は2025年4月から、勤続6か月未満であることを理由に労使協定で除外する仕組みが廃止されました。週2日以下などの条件は別に確認が必要です。「入社して日が浅いからどちらも無理」と自己判断しないでください。2)3)
2025年改正後は、会社からの個別の説明・意向確認もある
介護に直面したと申し出た労働者に対し、会社は制度や申出先、給付金について個別に周知し、利用意向を確認することが義務になりました。40歳等の早い段階での情報提供も行われます。3)
まだ利用日程が決まっていなくても、「親の介護が始まり、仕事との両立を相談したい」と人事・労務などへ伝えて構いません。何日休むかを家族だけで確定してから相談しなければならない、というものではありません。
相談時は、必要な用事と仕事への影響を分けて伝える
例えば「来週の通院で午前中に付き添いが必要」「退院前にサービスを調整する時間が必要」と、直近の用事を整理します。そのうえで、見通しが分かる部分とまだ分からない部分を分けて話すと、制度を組み合わせやすくなります。
会社には、利用できる制度、申出先、必要書類、賃金・給付、急な変更時の連絡方法を確認します。休業中の支出も気になる場合は、給付がいつ・どの条件で受けられるかを確認し、給与と同じタイミングに入金される前提で予定を立てないようにしましょう。
親の支援については、ケアマネジャーや地域包括支援センターへ、働く時間や対応が難しい時間帯を伝えます。退院時の支援は病院の相談員にも相談できます。会社への申請と、親の生活を支える調整の両方が必要です。
休んだ後も続けられる支援を考える
監修者の訪問看護での経験:自宅での看取りを望むご家族が、姉妹で交代しながら介護をしていました。訪問サービスを多く利用し、お孫さんも手伝っていましたが、それでもご家族の負担は大きそうに見えました。
この経験は、介護休業の取得状況を確認した事例ではありません。ただ、協力する家族が何人いるかだけで、支援が足りるとは判断できません。仕事との両立を考えるときは、夜間やサービスが来ない時間に、誰が何を担うのかまで書き出してみましょう。家族が対応できない時間や休息が取れない部分をケアマネジャーに伝え、サービスの組み合わせや一時的に休める支援を相談します。
休業が終わると通院・夜間対応・急な呼び出しを誰が担うのかを確認します。まとまった休みだけで足りなければ、短時間勤務等や残業の制限など、ほかの両立支援制度も会社へ相談してください。
制度の対象外と説明されて理由が分からない場合は、条件や労使協定の内容を確認したうえで、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)へ相談できます。給付の詳しい条件はハローワークへ確認します。1)2)
仕事を辞めるかを決める前に、利用できる休みと介護サービスを並べてみましょう。家族の用事に合う制度を選び、休業後の生活まで含めて準備することが大切です。

出典・参考資料
情報確認日:2026年9月10日
この記事を監修した人
野崎理香 / 正看護師
正看護師として、がん専門センターおよびリハビリ病院に勤務後、訪問看護の現場に従事。
日々のケアを通じて、「本当は聞きたいことがあるのに、時間に追われて質問できない」という利用者様の声に直面し、その課題を解決するため、介護情報サービス「ケアポケ」の立ち上げに参画。
現場での実体験をもとに、看護や在宅ケアに関する実践的な情報提供と記事の監修に取り組む。
短時間の付き添いなどには介護休暇、支援体制を整えるまとまった期間には介護休業を検討します。日数や条件が異なり、2025年には介護休暇の勤続期間に関する要件も変わっています。まず会社へ事情を伝え、利用できる制度と申出方法を確認しましょう。