介護

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2024.04.16 作成

2024.04.16 更新

在宅酸素療法って何?種類や使用上の注意点について徹底解説【現役看護師監修】

母親が肺の病気が悪化して酸素ボンベが必要になったのですが、家でみていけるか不安です。注意点などを教えてください。

専門家の回答

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「在宅酸素療法って何?」「どんなことに気をつければいいの?」
こんな疑問を持っていませんか?

在宅酸素療法は使い方を間違えると事故につながる可能性があります。しかし、正しい知識や注意点を守れば安全に使うことができ、使用するご本人のからだの負担を減らすことが可能です。
本記事では、在宅酸素療法や注意点など、知っておくと役立つことを簡単に解説します。
在宅酸素療法をこれから始める方やくわしく知りたい方のお役に立てれば幸いです。

在宅酸素療法って何?

在宅酸素療法

在宅酸素療法とは、からだのなかにうまく酸素を取り込めない方がご自宅でおこなえる酸素吸入の治療です。Home oxygen TherapyからHOT(ホット)ともいいます。
病院での酸素療法と同じように、酸素の量や時間などくわしい指示が医師から出ます。また一般的には使い方や注意点を教えてもらうため、在宅酸素療法の開始前に1週間ほど入院をすることもあります。本人だけでなく、必要があれば家族も指導を受けられるので安心してくださいね。
在宅酸素療法は、病院ではなく家や施設など住み慣れたところでできるため、症状改善だけではなく、ご本人の生活の質を向上させる効果も期待できます。

在宅酸素療法が必要なのはどんな人?

在宅酸素療法が適応になる病気は以下の通りです。

  • 慢性呼吸不全例(間質性肺炎やCOPDなどの肺の病気)
  • 肺高血圧症(心臓から肺に血液を送る血管の病気)
  • 慢性心不全(心臓の機能が長期にわたり低下している状態)
  • チアノーゼ型先天性心疾患(こどもの病気)

からだに酸素がうまく取り込めないと「息苦しい」「すぐ息切れしてしまう」などの自覚症状が出ます。しかし、長い間酸素がうまくからだに取り組めていないのに苦しい状態に慣れてしまい、あまり自覚症状がないこともあります。
うまく酸素が取り込めないと、心臓や脳などさまざまな臓器に負担がかかり、以下のような病気を引き起こすリスクが上がるので注意が必要です。

  • 高血圧
  • 心不全
  • 脳卒中
  • 心筋梗塞 など

酸素療法をおこなうことで「息苦しい」「疲れやすい」などの自覚症状を減らし、からだのさまざまな臓器への負担軽減も期待できます。

在宅酸素療法の種類はどんなものがあるの?

在宅酸素療法は主に2つの種類があります。つぎの表をご覧ください。

種類 仕組み
酸素濃縮装置 空気の中から酸素を集め、酸素を濃縮して使う
液体酸素装置 液体酸素の入ったタンクから、少しずつ気体の酸素にかえて使う

在宅酸素療法の種類について詳しくはこちら

外出時には、酸素が足りなくなるということがないように余裕をもつことを心がけましょう。また、地域によっては外出や旅行のときの酸素の援助があるので、ぜひお住まいの地域の情報を確認してみてくださいね。

在宅酸素療法の費用はどのくらいかかるの?

在宅酸素療法は医療保険の対象です。金額には装置や酸素、装置のメンテナンス費用などが含まれています。

医療保険 費用(月額)
1割負担 約7,700円
2割負担 約15,400円
3割負担 約23,000円

お住まいの地域によってこれ以外の補助が出る場合もあります。くわしくは主治医やケアマネージャーに聞いてみてください。
また身体障害者手帳の申請も可能になり、交通機関の割引や日常生活で必要なものの給付など援助が受けられます。こちらもケアマネージャーやお住まいの地域の役場にぜひ問い合わせてみてくださいね。

在宅酸素療法の注意点3選

在宅酸素療法をおこなう上での注意点をくわしくみてみましょう。

火気に注意する

火の取り扱いに注意が必要です。在宅酸素療法では高濃度の酸素を使用します。そのため、酸素吸入中に火を取り扱うとやけどや火災の原因となります。
火災の主な原因はつぎのとおりです。

  • タバコ
  • 漏電
  • 線香
  • ストーブ
  • 台所での調理 など

酸素濃縮装置などの周囲2m以内には火の出る恐れのあるものは置かないようにしましょう。またそれぞれの装置によっても注意点が異なるため、使用の前に確認してみてくださいね。

吸入量や吸入時間を守る

からだの状態によって酸素の量や吸入時間は決められています。たとえば、「短時間なら外してもいい」「入浴時には酸素量を増やす」などです。
これらの細かい指示はそれぞれの状態によって変わります。
苦しいからといって自分の判断で酸素の量を増やすと、二酸化炭素の量が増え意識状態が悪くなる可能性があります。そのため、何か気になることがある場合には医師に相談してみてください。

月に1度は受診する

医療保険の適応であるため、原則月に1回は診察を受ける必要があります。遠くまでの受診が難しい場合には近くの医師に変える・往診医を探すなど、ケアマネージャーに相談することをおすすめします。

まとめ

在宅酸素療法はご本人が住み慣れたところで生活し続けるために必要です。はじめは取り扱いに慣れず不安なことも多いでしょう。
しかし、注意点を守れば安全に管理することができます。不安なことや疑問点はいつでも気軽に医師や看護師、在宅酸素機器のサポートセンターなどに問い合わせてみてくださいね。
在宅酸素療法の最初からすべて理解しなくても大丈夫です。周囲のサポートを受けながら在宅酸素療法に少しずつ慣れていきましょう。

出典

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