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専門家の回答
転倒の同意書の内容
転倒の同意書は、「リスク説明書」という名称で施設等へ入所する際に確認、了承を求められることがあります。
そもそも転倒の同意書とはどういった内容なのでしょうか?
各病院や施設により内容に違いはありますが、概ね以下のような内容が記されています。
- 転倒・ 転落による怪我(骨折・外傷性頭蓋内損傷等)をする可能性がある
転倒リスクに関する項目の他にも、以下のような項目が記載されています。
- 高齢者の皮膚は薄く、少しの摩擦で表皮剥離ができやすい状態にあります。
- 高齢者の血管はもろく、軽度の打撲であっても、皮下出血ができやすい状態にあります。
- 高齢者であることから、脳や心臓等の疾患により、急変・急死される場合もあります。
- 加齢や認知症の症状により、水分や食物を飲み込む力が低下します。誤嚥・誤飲・窒息の危険 性が高い状態にあります。
- 本人の全身状態が急に悪化した場合、当施設配置医師(又は看護職員)の判断で緊急に病院へ 搬送を行うことがあります。
なぜ同意書を求められるの?
同意書には施設で発生しやすい事故などがまとめられています。
高齢になると筋力の低下や、薬の影響、運動不足など様々な要因により転倒などのリスクが高くなります。
転倒を減らすために転倒リスクの高い利用者には積極的に対処を行うことが一般的ですが、十分な転倒予防対策をしていても予防しきれない転倒が発生してしまいます。
また、利用者の生活機能の維持・改善を目的としている施設や病院もありますので、定期的な運動やリハビリ等を行ったり、なるべく利用者自身ででできることはご自身で対応していただくこともあります。
転倒に関する同意書は、利用者のご家族へ具体的に事故のリスクを提示し、あらかじめご理解いただくことを目的として作成されています。
転倒するのは施設の責任?
転倒の事故が発生した場合、施設や病院に責任があるかないかは、事故が発生した状況により決まります。
施設や職員の故意や過失で発生した、以前も同じ状況で同じ事故が発生していて未然に防げる事故であった場合などは施設の責任になるでしょう。
ですが、状況によって必ずしも施設の責任であるとはいえません。
例えば、利用者が介助が不要な自分でできることをしている最中であったり、利用者が予想できない行動をしたために起こった事故などは施設に責任が生じないこともあります。
事故が発生してしまった場合は、まずは以下を確認しましょう。
- 事故の状況
- 事故が起きやすい場所であったのかどうか
- 事故防止の対策が適切であったのか
- 事故当時における職員の介助方法は適切なものであったのか
- 事故の原因が、利用者による予想外の行動であったのかどうか
- 利用者の行動に対して、職員が事故を起こさないように対処できなかったのか
転倒の同意書を断ると入院や入所できないことも
施設側の話を聞いた上で納得できない内容であれば無理に同意しなくても良いものではありますが、同意書を断ると入院や入所を断られてしまう場合が多いでしょう。
人が介在する以上、転倒事故どうしても起こってしまうものですので、同意書はそれをご理解いただくためにあるものです。
転倒による事故や怪我に注視しすぎず、利用者の生活機能の維持・改善に目を向けることも大切です。
入院や施設への入所の際に転倒の同意書を求められることがあります。
この同意書はどういった内容のもので、目的は何か、断ることはできるのかご説明します。