介護保険制度
専門家の回答
居住介護住宅改修費とは?
居住介護住宅改修費とは、住み慣れた自宅を住みやすくするための住宅改修をするときに介護保険から費用の一部補助が受けられる制度です。
住宅改修の具体例をみてみましょう。
住宅改修の内容 | 具体例 |
---|---|
手すりの設置 | 廊下・階段・浴室・トイレ・玄関など |
段差の解消 | ・部屋と廊下の間の敷居をなくす ・玄関から道路までの通路の段差をなくす など |
床材の変更 | 畳を板材に変えたり、じゅうたんを撤去したりなど |
扉の変更 | ・開き戸から引き戸に変更 ・扉の撤去 ・ドアノブを交換や扉を開けやすいものにする など |
便座の取り替え | ・和式便座から洋式便座への変更 ・便器の向きや位置の変更 など |
賃貸の場合でも家主の許可があれば改修はできます。しかし退去のときに元の状態に戻す場合は全額自己負担となるので注意が必要です。
住宅改修が難しい場合には、福祉用具のレンタルなどで対応できないかケアマネージャーに確認することをおすすめします。
また工事の前に必ず申請が必要です。工事の前にお住いの市町村から許可がおりないと保険給付を受けられないからです。申請のときにはケアマネージャーからの「理由書」が必要になるため住宅改修をお考えのときにはケアマネージャーに相談してみてくださいね。
居住介護住宅改修費の対象者は?
居住介護住宅改修費の対象者・住宅・支給額をくわしく説明していきます。
対象者
工事を開始する日に要介護認定を受けており、その家に住んでいることが条件となります。
要支援の場合は「介護予防住宅改修費」と名称がわかれていますが、同じように介護保険で住宅改修が受けられます。
つまり、要介護または要支援の認定を受けている方が介護保険の住宅改修の対象です。
対象となる住宅
介護保険被保険者証に住所として記載されている住宅になります。介護が必要になり、お子さまと同居する場合や引っ越す場合などは保険証の住所変更を早めにおこなうことをおすすめします。
住宅改修では在宅介護を続けやすくすること、自立を目指した生活をすることが目的であり、老朽化による扉や床材などの交換は支給の対象外です。
支給額
要介護度にかかわらず、20万円までの工事費用が対象です。そのうち住宅改修費の9割相当額が介護保険から支給されます。
例)
1割負担の場合 工事費20万 保険給付18万
通常いったん全額を支払いし、あとから規定に沿った金額が払い戻されます。しかしお住まいの地域によっては、介護保険の手続きを役所に委任することで自己負担分だけを払えばいいこともあるのでケアマネージャーに確認してみてくださいね。
また一度に全額使い切らなくても大丈夫です。何度かにわけて使えるため、必要な工事をしてもらってください。
居住介護住宅改修費の申請方法
居住介護住宅改修費の申請方法は以下の通りです。
- 住宅改修についてケアマネージャーやお住まいの市町村などに相談
- 申請書類や書類の一部を市町村に提出(申請書や住宅改修が必要な理由書など)
- 工事施工
- 完成
- 工事終了後に領収書や改修前後の写真などの書類を市町村へ提出し支給申請
工事の業者なども特に決まってない場合はケアマネージャーに聞いてみてください。また住宅改修を考えている方でケアマネージャーがいない場合にはお住まいの市町村まで一度相談してみることをおすすめします。
居住介護住宅改修費は何度でも利用できる?
居住介護住宅改修費は基本的に生涯で1回のみの利用となります。しかし例外があるのでつぎの項目でくわしく解説していきます。
要介護区分が3段階以上上がった場合
1回目に住宅改修をしたときから、要介護の区分が3段階以上あがった場合は再度20万円の保険給付を受けることができます。
介護区分の詳細については以下をご覧ください。
初回着工日の要介護度 | 再工事日の要介護度 |
---|---|
要支援1 | 要介護3・4・5 |
要支援2・要介護1 | 要介護4・5 |
要介護2 | 要介護5 |
要介護3・要介護4・要介護5 | 再申請不可 |
転居した場合
引っ越して住所が変わった場合には、介護区分関係なく居住介護住宅改修費が再度申請できます。引っ越す場合には申請を忘れずにしてくださいね。
まとめ
住み慣れた家で生活したいけど、安全に暮らすには少しリフォームが必要というときに居住介護住宅改修費の制度は役に立ちます。
気になることはケアマネージャーやお住いの地域の役所に問い合わせてみてくださいね。
手すりをつけたり、段差を解消したりして安全に暮らせる家を目指しましょう。
出典
「家に手すりをつけたいな」「段差をどうにかしたいな」
高齢になり、家のリフォームが必要だと思っていませんか?
介護保険の居住介護住宅改修費という制度で費用が一部負担されるかもしれません。
本記事では居住介護住宅改修費がどのような制度で、どんなときに使えるかなどくわしく解説していきます。
住宅改修を考えている方のお役に立てれば幸いです。