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専門家の回答
高齢者の糖尿病の食事制限で気をつけたいこと
高齢者の糖尿病の場合、必ずしも食事制限が必要でないことがあります。食事のムラがあったり、必要な栄養がとれていないことがあるからです。ここでは、高齢者の糖尿病の食事制限で気をつけたいことを3つにわけ説明します。くわしくみてみましょう。
血糖の下がりすぎに注意
高齢者の場合、低血糖症状に注意が必要です。糖尿病の方の低血糖は、飲み薬やインスリン注射が原因なことが多いのですが、中にはホルモンの病気が関係している場合があります。
高齢者の場合「動悸」「発汗」「手のふるえ」などの低血糖症状が出にくい場合があり「甘いものを食べる」「甘いものを飲む」などの対処が遅れ、重篤な低血糖をまねく恐れがあります。
そのため、高齢者の場合は血糖コントロールの目標をゆるめに設定することがあります。間食することを考慮して薬が出てることもあるため、主治医に血糖値の目標を確認してみてくださいね。
検査データの確認
糖尿病の検査データによって、薬剤の量や食事制限の必要度が変わります。おもな検査をみてみましょう。
検査の種類 | 内容 |
---|---|
血糖値 | ・からだの中の糖(ブドウ糖)の量をはかる ・120mg/dl以下が理想だが、高齢者の場合は140mg/dl以下くらいを目標にすることもある |
HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー) | ・過去2-3か月の血糖値の平均的な値 ・通常は6.5%未満が正常値だが、高齢者の場合は認知レベルやからだの状態により目標の値が分かれている |
血糖値やHbA1cの目標値は、それぞれの健康状態や認知レベルによっても異なります。くわしくは主治医に聞いてみてくださいね。
食事量の把握
高齢者で糖尿病の食事制限をおこなう場合、食事量の把握が重要です。食事をとっていないのに、血糖を下げる薬や注射を打つと低血糖を引き起こす恐れがあるからです。
体調が悪くて食事が取れなかったり、認知症が原因で食事をすることを忘れたりなど、突然食事量が減ることがあります。
3食バランスのいい食事を取れているかどうか確認してみてくださいね。
高齢者の糖尿病でおすすめな間食
高齢者の糖尿病におすすめな間食は、それぞれのからだの状態や認知力の状態によって異なります。一般的におすすめされるナッツ類や野菜チップスなどは飲み込みにくく、食べにくい可能性があるからです。
ではおすすめな間食の具体例をみてみましょう。
- 豆腐
- プロセスチーズ
- ゆでたまご
- さつまいも
- バナナ(中)1本
- みかん 約2こ
- りんご 半分
- サラダ(ドレッシングのかけすぎは注意)
- ひじき など
今はコンビニエンスストアや薬局などでも、糖質が少ない糖尿病の方向けのおやつが売られてます。
ご本人が食べやすそうなものを探してみるのもおすすめです。
糖尿病以外の病気がある場合には「糖質」以外にも気をつけなくてはいけないことが必要な可能性があるため、主治医に確認してみてください。
高齢者の糖尿病の食事で避けた方がいいもの
では高齢者の糖尿病の食事で控えたほうがいいものをくわしくみてみましょう。
内容 | 対策 |
---|---|
お菓子類 (洋菓子、和菓子、スナック菓子など) |
・毎日食べない、食べるときは少量をこころがける ・糖質が低いものを選ぶ |
加糖飲料 (サイダー、ジュース、缶コーヒーなど) |
無糖の「お茶」「コーヒー」「炭酸水」に切り替える |
果物 | ・少量ならOK ・糖分を含むためとりすぎに注意する |
乳製品 (牛乳、チーズ、ヨーグルト) |
カルシウムやタンパク質のもとだが、エネルギーや脂質のとりすぎになることもあるため、とりすぎに注意する |
お菓子類やジュース類はできるだけ控えることがのぞましいでしょう。果物や乳製品に関しては「どれだけ食べても大丈夫」と思われがちですが、とりすぎに注意が必要です。
高齢者の場合、糖尿病だけでなく高血圧や脂質代謝異常など、糖質以外にも注意が必要な場合があります。
くわしくは栄養士の指導を受けてみることもおすすめします。通院先に栄養士がいない場合は、主治医やお住まいの市区町村の役場に利用できる栄養指導がないか、確認してみてくださいね。
食事制限ができないときの対処法
食事制限ができないときの対処法を3つ紹介します。
間食してもいいものを置いておく
ひとつ目は「間食してもいいものを置いておく」です。高齢者の場合、ご自身のこだわりや認知機能の低下が原因で食事制限ができないことがあります。
食べ物を隠したり、冷蔵庫や戸棚を開かないようにしたりすると無理やり取ろうとして、事故につながる恐れがあります。
そのため、あえて間食してもいいものを家に置いてあげることがおすすめです。血糖値が上がりにくいものを選んであげてみてください。
日中の過ごし方を考える
2つ目は「日中の過ごし方を考える」です。デイサービスをはじめとする介護サービスを利用することで、決まったスケジュールをこなすため日中の間食が減る可能性があります。
介護認定を受けていない方は一度、お住まいの市区町村の役場の介護保険に関する窓口に相談してみてください。
主治医に相談する
3つ目は「主治医に相談する」です。食事の取り方によって、薬や注射の量を変更する可能性があるからです。
「どうしても間食がやめられない」「話を聞いてくれない」などお困りの場合には悩まず主治医に伝えてみてくださいね。
まとめ
高齢者の糖尿病では、ご本人の強いこだわりや認知力の低下が原因で、食事制限が必要でもうまくいかないことがあります。
食事制限がうまくいかないときには、薬剤の量を増やしたり、種類を変更したりすることもあるため、主治医に相談してみてください。
ご家族の方だけで頑張りすぎず、医師や栄養士などの専門家にいつでも頼ってくださいね。
出典
「高齢の親が糖尿病なのに食事制限ができない」「食事制限しようとしても話を聞いてくれない」
このようなことで悩んでいませんか?
高齢者の方の場合、強いこだわりや認知力の低下が原因で食事制限が難しいことがあります。
本記事では、高齢者の糖尿病における食事制限の必要性や気をつけたいことなどを解説するので、高齢者の糖尿病で食事制限ができずお困りの方のお役に立てれば幸いです。