介護
専門家の回答
熱中症になりやすい高齢者
高齢者の熱中症の原因は様々ですが、以下の特徴が見られる方が熱中症になりやすい方になりますので、注意が必要です。
- 日常的に脱水の傾向がある
- 暑さを感じにくい
- 持病がある(体温調節機能の乱れを引き起こす)
- 服用している薬の副作用(種類によっては発汗の抑制や利尿作用があることも)
- 暑さで食事量が減り栄養状態が悪くなる
- エアコンが苦手
高齢者の熱中症について、詳しくご紹介していますので、こちらの記事もご覧ください。
熱中症の基本的な対策
- 水分補給
- 通気性のよい、吸湿性・速乾性のある衣服の着用
- 保冷剤、氷、冷たいタオルなどで、からだを冷やす
水分補給
高齢者は特に暑さや水分不足に対する感覚機能が低下しています。調整機能も低下しているため、喉の渇きを感じなくてもこまめな水分補給が必要です。
いつでも水分が摂れるよう、すぐ届く位置に飲み物を用意し、こまめな水分補給を促しましょう。
お腹が冷えることを嫌がる方もいらっしゃるため、温かい、もしくは常温の飲み物だと好まれます。
他にも、食後のデザートやおやつに、フルーツやゼリーなど水分の多いものを食べてもらうことも良いでしょう。
水分補給におすすめの飲み物
- 経口補水液
- ミネラル麦茶
- 梅昆布茶
- 野菜ジュース
汗には塩分が含まれます。水やお茶のみだと塩分量が少なく、かえって熱中症リスクを高めてしまう可能性もあります。適度な塩分が含まれる飲み物を水分補給では摂取するようにしましょう。
通気性のよい、吸湿性・速乾性のある衣服を着用する
襟元がゆったりしている服は通気性がよく風邪を通し体から出る熱と汗を素早く逃すことができます。
日に当たる場合は熱を吸収する黒色系の服は避けましょう。
保冷グッズ、冷たいタオルなどで、からだを冷やす
首や脇の下、足の付け根などの太い血管がある場所を冷やすと、効率良く体全体を冷やすことができます。
保冷剤などを凍ったものを使用する場合は直接肌につけると凍傷の恐れがあるためタオルなどに包んで直接肌に触れないようにしましょう。
なお、冷えピタシートは貼った直後はひんやりと気持ちがいいですが、体を冷やす効果はないため熱中症対策ではおすすめしません。
屋外でできる熱中症対策
- 暑い日は無理な外出を控える
- 日中の暑い時間帯の外出を避ける
- 日傘や帽子の着用
- 日向を避け、日陰を利用し、こまめな休憩をする
- 首を冷やす保冷グッズや携帯型扇風機、扇子などを活用する
なるべく暑い日の外出は控えるようにしましょう。
どうしても外に出ないといけない場合は、帽子や日傘、首にかける保冷グッズなどを活用し、体温の上昇を抑えるような工夫が重要です。
日陰と日向の表面温度の差は20°Cになることもあります。
なるべく外では日陰を利用するようにして、日傘や帽子で直射日光を避けましょう。
また、汗をたくさんかいた時は水やお茶ではなく、塩分を含んだ経口補水液やミネラルを含んだミネラル麦茶などでこまめに水分補給しましょう。
屋内でできる熱中症対策
- 風通しをよくする
- カーテン(遮光だとなお良い)やブラインド、すだれを活用し、窓からの日光を遮る
- 扇風機やエアコンで温度を調節
- 室温をこまめに確認
- 汗をかく運動をする
高齢者の部屋に温湿度計を置き、こまめに確認しましょう。
高齢者の方の中にはエアコンを嫌う人もいるかもしれませんが、高齢者の方が若かった頃と今では気温が全く違います。温湿度計をみせることで納得していただけることもあります。
エアコンをつける際には風が直接当たらないように風向きを調整し、扇風機も併用することで部屋全体が涼しくなるようにしましょう。
部屋が冷えすぎてしまう場合には、窓を少し開けて冷気を逃すのも良いでしょう。
エアコンの温度はクールビズで「28°C」が呼びかけられていますが、冷房の設定温度を28°Cにしても室温が必ず28°Cになるわけではありません。
窓から差し込む日光や換気の状況などで設定温度よりも室温が高くなることもありますので、冷房の設定温度は状況によって変えるようにしましょう。
また、1日1回汗をかく運動をすることで、体温調節機能の低下を遅らせる効果もあるため無理のない範囲で日常的に体力をつけておくことはとても大切です。
簡単にできるトレーニングやストレッチをこちらの記事でご紹介しています。
まとめ
高齢者の介護をしている方は、高齢者の様子の変化に注意してあげましょう。
こまめな水分補給ができているか、室温は適温か、本人は気がつかないことが多いので周りの方がサポートすることで熱中症を防ぐことができます。
ご家族が不在の場合は介護サービスを利用して、高齢者が一人にならないように可能な限り見守れる環境を作るようにしましょう。
出典
高齢者は熱中症のリスクが高い傾向にあります。今回は屋外・屋内でできる熱中症対策についてご説明いたします。