病院・施設
目次
- 1. 退院を急に告げられるケースとは?
- 1-1. 病院のベッド事情・医療制度
- 1-2. 医師や看護師から退院を打診されるタイミング
- 2. 相談すべきはメディカルソーシャルワーカー(MSW)
- 2-1. 役割とできること
- 2-2. 介護保険申請や障害者手帳など手続きの相談
- 2-3. 介護保険
- 2-4. 障害者手帳
- 3. 地域包括支援センターにも相談できる
- 3-1. ケアマネジャーによる退院支援
- 3-2. 在宅介護サービスやショートステイの検討
- 4. 退院後に困らないための準備ポイント
- 4-1. 介護サービスの利用開始までの流れ
- 4-2. 家庭環境の調整(手すり、ベッドなど)
- 4-3. 家族が知っておきたい支援制度
- 5. よくあるQ&A
- 5-1. 退院は拒否できるの?
- 5-2. 相談先は病院と地域包括支援センター、どちらが先?
- 5-3. 費用はどれくらいかかる?
- 6. まとめ
- 6-1. 急な退院を告げられても、まずは相談先を押さえれば安心
- 6-2. MSW・地域包括支援センターを活用して、退院後の生活をスムーズに
専門家の回答
退院を急に告げられるケースとは?

基本的に、在宅生活の基盤を整えた上で退院します。
そのために病院は地域医療連携室と呼ばれる退院をサポートする部署やメディカルソーシャルワーカーと呼ばれる相談役をおいています。
しかし、病院の規模や人口の多い都市部ではサポートが充分出ない場合もあり、準備が整わない中で退院を迎えることがあります。
入院時からその病院で退院サポートがあるかを見極め、サポートが不十分であれば自ら動く必要があります。
病院のベッド事情・医療制度
近年、人口減少や診療報酬の改定により病院経営は難しく赤字の病院が多くあります。
医療制度の改革が進み、短期間、病状に適切な時期での入院期間が推奨されています。
その為、病院側としても長期間の入院は診療報酬が下がるので、できるだけ早期の退院を目指します。
一定期間を過ぎると診療報酬の加算もなくなるので、病院は必要な治療を前提に限られたベッドを有効活用したいと考えています。
医師や看護師から退院を打診されるタイミング
治療を目的とする急性期病院では具体的な入院期間の規定はありません。
しかし病院は、入院後の14日間は高い診療報酬がつき、30日間を超えると加算がなくなる仕組みになっています。
その為、1ヶ月を目処に転院や退院かの判断になる可能性が高いです。 退院が難しい場合はリハビリを目的とする回復期病院に転院することになります。
回復期病院では、厚生労働省が疾患によって入院期間を定めています。30日から最大180日が入院の目安で疾患により入院期間が異なります。
回復期リハビリテーション病院の対象疾患と入院期間
| 対象疾患 | 入院期間 |
|---|---|
| 脳血管疾患、脊椎損傷 | 180日 |
| 大腿骨、股関節・膝関節の骨折 | 90日 |
| 股関節・膝関節の置換術 | 90日 |
| 急性心筋梗塞 | 90日 |
相談すべきはメディカルソーシャルワーカー(MSW)
入院中の相談役は退院支援を行うメディカルソーシャルワーカーです。
役割とできること
メディカルソーシャルワーカーは入院中の生活から退院後の在宅サービスの調整まで相談受付を行っています。
中規模以上の病院では「医療相談室、地域医療連携室」と呼ばれる部門に在籍しています。
不安なことは相談して先手を打てるように動いていきましょう。
病院の規模によっては十分な対応が難しい場合もあります。
退院サポートについては早めに確認し、サポートが手薄であれば、次の章で説明する地域包括支援センターへの相談が必要になります。
メディカルソーシャルワーカーへの相談内容
- 入院費用について知りたい
- 他の病院や施設について知りたい
- 入院中の洗濯など身の周りの世話で困っている
- 退院後の療養生活について
- 介護保険制度について知りたい
- 障害者手帳や障害年金の手続きについて
介護保険申請や障害者手帳など手続きの相談
退院に向けて入院中に準備を進めることがいくつかあります。
この章では介護保険と障害者手帳について説明します。
介護保険
退院後の在宅生活を送る上で介護保険サービスの利用が必要になる可能性が大きいです。
例えば介護支援をしてくれる訪問介護、入浴補助やレクリエーションを楽しむデイサービス、一時的に施設に宿泊するショートステイがあります。
サービスを安価に利用するためには介護保険申請が必要です。
書類提出から結果が出るまで1ヶ月以上かかります。
その他に担当ケアマネジャーを決め、その後は必要なサービスと事業者を決める必要があるので時間がかかります。
入院初期から申請を進めた方が良いでしょう。
障害者手帳
障害者手帳の申請も必要です。
疾患や状態により、1級から7級までの段階に分けられ手帳が支給されます。
障害者手帳を持っていると税の減免、医療費の補助、公共料金の割引きなどのメリットがあります。
退院後にも通院や継続的なリハビリが必要になることが多く経済的な負担があるので障害者手帳を活用しましょう。
医療ソーシャルワーカーや市役所の障害福祉課が相談窓口になっています。
障害者手帳のメリット
- 医療費の健康保険自己負担分の助成
- 所得税、住民税、相続税、贈与税の障害者控除の適用
- JR鉄道料金、一部のバス料金、タクシー料金
- 博物館や美術館の入場料割引
地域包括支援センターにも相談できる
ケアマネジャーによる退院支援
前章でメディカルソーシャルワーカーが退院支援の相談窓口と伝えましたが、在宅生活のサポートに特化したのがケアマネジャーです。
ケアマネジャーを相談窓口として自宅の環境整備や介護保険サービスの調整が進んでいきます。
各地域には地域包括支援センターという介護相談窓口が設置されています。
基本的には各中学校区ごとに設置してあるので近くの地域包括支援センターを探してみてください。
相談員が申請代行からケアマネジャーの手配までサポートしてくれます。
在宅介護サービスやショートステイの検討
介護保険には、在宅生活を支援する様々なサービスがあります。
自宅では難しい入浴やレクリエーションを行う通所介護(デイサービス)、家事や介護サポートをしてくれる訪問介護(ホームヘルパー)、一時的に施設に宿泊するショートステイなどです。介護が必要になった時に家族で対応しないといけない、と思われる方が多いかもしれません。
しかし、家族が健康で長く介護を続けることが在宅生活では重要なことです。ケアマネジャーと相談し最適なサービスと量を選択しましょう。
退院後に困らないための準備ポイント
介護サービスの利用開始までの流れ
介護保険を使用するために、まずは介護保険申請を行うことが必要になります。
医療ソーシャルワーカーに相談し近隣の地域包括支援センターを紹介してもらいましょう。
地域包括支援センターの職員が介護保険申請を行ってくれます。
その後、介護認定(要支援1〜2、要介護1〜5)の結果がおります。
その後はケアマネジャーを選定し、実際に使用するサービスと事業所を選択することになります。
家庭環境の調整(手すり、ベッドなど)
在宅生活において最も大事なことは住環境を整えることです。
ベッドや車いすはレンタルすることが可能なので、ケアマネジャーに相談しましょう。
ケアマネジャーが調整した福祉用具業者が様々な提案を行います。
また移動に重要な手すりはレンタルと工事によって設置することができます。
福祉用具業者の提案を受け、危険箇所に必要な道具を設置しましょう。
家族が知っておきたい支援制度
介護保険や障害制度以外でも各自治体には様々な制度があります。
多くあるのが「緊急通報システム」です。
具合が悪くなった時にボタンを押せば消防署や近隣住民に自動的に連絡がいくというものです。
また、おむつ代の助成がある地区も多いです。
地域包括支援センターや各自治体にどのような支援サービスがあるか確認しましょう。
地支援事業の例
| 地域支援事業 | 内容 |
|---|---|
| 食事の宅配サービス | お弁当などの食事の提供と安否確認 |
| 日常生活用具の給付 | 電磁調理器、火災報知器などの給付 |
| 高齢者住宅改修助成 | 住宅改造の一部を助成 |
| 高齢者紙おむつ給付 | 紙おむつ費用を助成 |
| 在宅理美容サービス | 訪問理美容を行う |
| 在宅高齢者移送サービス | 介護タクシーを使用して通院費の一部を助成 |
よくあるQ&A
退院は拒否できるの?
退院は拒否できますが、交渉になる可能性が高いです。
病院側としては疾患に定められた入院期間に沿って治療やリハビリを行うので妥当性のある時期に退院の打診をしてきます。
この状態で在宅生活ができるのかと不安に思うこともあるでしょう。
その場合は入院条件が比較的緩やかな地域包括ケア病棟への転院や、介護保険老人施設への一時的な入所を行うこともできます。
メディカルソーシャルワーカーに相談しましょう。
相談先は病院と地域包括支援センター、どちらが先?
最初の相談は病院が良いです。
メディカルソーシャルワーカーから地域包括支援センターに相談がいけば、本人の状態や病状が伝わりやすくその後の連携もスムーズにいくことが多いです。
ただ、地域や病院によってはメディカルソーシャルワーカーの手が足りていない場合があります。
その際は、先行して地域包括支援センターへ相談するのが良いでしょう。
費用はどれくらいかかる?
病状や入院期間によって異なるので、一概に説明することは難しいです。
80歳男性が2週間入院すると約10万円ほどかかるという試算もあります。
医療費は基本的に3割ですが、70〜74歳の前期高齢者では所得によって2割負担になる場合があります。
また、75歳以上の後期高齢者では1〜3割に分類されます。ご自身の医療負担割合を事前に確認しましょう。
まとめ
急な退院を告げられても、まずは相談先を押さえれば安心
病院からの退院時期は事前にあらかじめ決めてあるものです。
この記事の中で診療報酬の関係から病院は早期退院に動くと述べていきました。
だからこそ、早くからメディカルソーシャルワーカーへの相談を行い早めの退院準備を始めましょう。
退院時期を早めに把握しておけば逆算して落ち着いて行動できます。
MSW・地域包括支援センターを活用して、退院後の生活をスムーズに
自分や家族で抱え込まずに、メディカルソーシャルワーカーや地域包括支援センターの相談員に相談しましょう。
入院生活や、退院後の生活を考えると多くの不安があると思います。彼らがその不安を解消するサポート役なので遠慮せずに相談してください。
この記事を監修した人
野崎理香 / 正看護師
正看護師として、がん専門センターおよびリハビリ病院に勤務後、訪問看護の現場に従事。
日々のケアを通じて、「本当は聞きたいことがあるのに、時間に追われて質問できない」という利用者様の声に直面し、その課題を解決するため、介護情報サービス「ケアポケ」の立ち上げに参画。
現場での実体験をもとに、看護や在宅ケアに関する実践的な情報提供と記事の監修に取り組む。
この記事は、高齢のご家族が退院する準備をお手伝いするものです。
入院準備に苦労され、落ち着いた頃には退院の準備を進めなければなりません。
病院から急な退院をお願いされることもあります。
この記事を読んで落ち着いて退院の準備をしましょう。