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「サル痘」ってどんな病気?
サル痘は、1970年にザイール(現在のコンゴ民主共和国)でヒトでの初めの感染が確認された、オルソポックスウイルス属のサル痘ウイルスによる感染症で、中央アフリカから西アフリカにかけて流行しています。国内では感染症法上の4類感染症に指定されています。※1
「サル痘」の症状について
従来の「サル痘」の主な症状
代表的な症状として発疹があります。顔面や四肢に多く出現し、水疱から膿を含んだ発疹(膿疱)、そしてかさぶた状の発疹(痂皮)となる経過をたどります。
その他の症状は以下の通りです。
- 発熱
- 頭痛
- リンパ節の腫れ
- 発疹
今回の欧米での流行で指摘されている「サル痘」の主な症状
今回の欧米を中心とした「サル痘」の流行は従来の症状と比較して異なる点が3つあります。※1
- 発熱やリンパ節の腫れなどの感染の前触れとなるような症状が見られない
- 発疹が出現する場所が局所的で、会陰部・肛門部・口腔に集中し、全身に広がらない場合がある
- 水疱・膿を含んだ発疹(膿疱)・かさぶた状の発疹(痂皮)が同時に見られる場合がある
①発熱やリンパ節の腫れなどの感染の前触れとなるような症状が見られない
従来の「サル痘」の症状では発熱やリンパ節の腫れなどの症状が出て1〜3日後に発疹が出現していましたが、今回の流行している「サル痘」では発熱などの症状がないまま発疹が出現する場合があります。
②発疹が出現する場所が局所的で、会陰部・肛門部・口腔に集中し、全身に広がらない場合がある
従来の「サル痘」の症状では、顔面・四肢など体の広範囲に発疹が出現していました。今回は局所的な症状の出現である場合があるとわかっています。
③水疱・膿を含んだ発疹(膿疱)・かさぶた状の発疹(痂皮)が同時に見られる場合がある
従来のものは水疱→膿疱→痂皮の順に体に出現した発疹がほぼ同時に状態が変化していましたが、状態の異なる発疹が同時に見られる場合があることがわかっています。
「サル痘」の感染経路について
サルやウサギなどウイルスを保有する動物との接触により人間に感染します。
また、感染した人の発疹や体液・血液などへの接触や、性行為、接近した対面で長時間にわたり飛沫(細かい唾の粒)を浴び続ける、感染した人が使用した寝具などに触れることで、人間から人間への感染するとされています。
新型コロナのように介護施設などでのクラスターや医療機関への圧迫はあるのか
今回の「サル痘」の流行は、現時点では不明な点が多いです。
感染スピードがあまりにも早く、従来の感染経路以外に別の感染経路があるのではないかと考察されています。
そのため、日本でも新型コロナと同等の感染力で拡大していくのかどうかについてはまだまだ専門家による研究の結果を待つほかありません。
今私たちにできること
私たちには何ができるか考えた時に、まず冷静になることが必要なのだと思います。
先述の通り分からないことだらけで、今後様々な憶測や意見が飛び交い不安に感じる方も多いかと思われますが、まずは冷静になり、情報の取捨選択をするようにしましょう。
そして、新型コロナでの対応と同様に一人一人が十分に感染予防のための対応をしっかりと行うことが最も重要です。
手洗いなどの手指衛生の他、密な場所ではマスクの着用を心がけるようにしましょうね。
出典
現在(2022年7月)、新型コロナウィルスは依然猛威を振るっており不安な状況が続いています。
そんな中新たにWHOで緊急事態宣言がなされ、日本での感染者が確認されたサル痘について現時点で分かっていることをまとめました。